WEB STORE

レインウエアが蒸れるのはなぜ?透湿性の落とし穴と正しい選び方

透湿性の高いレインウエアを選んだはずなのに、登山中に蒸れを感じたことはありませんか。

内側がしっとり濡れ、休憩時に冷えにつながることもあります。こうした蒸れは、透湿性の数値だけでは見えてこない要素によって生まれます。

試験方法の違いやメンブレンの仕組み、換気性能の差などを理解することで、蒸れ感を軽減しやすいレインウエア選びにつながります。

目次

高スペックのレインウエアなのに、なぜ蒸れるのか?

透湿性の高いレインウエアを選んだはずなのに、行動中に蒸れ感が気になった経験はありませんか。内側がしっとりと濡れ、休憩時には冷えを感じてしまうこともあります。

こうした不快感があると、「レインウエアはこんなもの」と受け入れてしまいがちです。しかし、蒸れ感の出方には理由があります。透湿性の数値だけでは見えてこない要素が、実際の着用時の快適さを左右しているのです。

レインウエアの中で起きていることを少し視点を変えて見ていくと、蒸れの原因と、その軽減のヒントが見えてきます。

その蒸れ感、ただ不快なだけではない

蒸れは単なる着心地の問題にとどまりません。ウエア内に湿気がこもると体温調整が難しくなり、行動中に暑さを感じやすくなります。

さらに、休憩時には汗や湿気が冷えに変わり、体を冷やす要因にもなります。脱ぎ着の回数が増えたり、行動のリズムが乱れたりと、小さなストレスが積み重なっていくこともあるでしょう。

こうした積み重ねは、結果として行動ペースや判断にも影響します。だからこそ、蒸れ感を少しでも軽減できるレインウエア選びは、快適さだけでなく行動の質を保つうえでも大切な要素になります。

蒸れ感を軽減しやすいレインウエアの3つの視点

では、蒸れ感を軽減するにはどんな点に注目すればいいのでしょうか。ポイントは大きく3つあります。

  1. 着用時の状態に近い条件で評価された透湿性かどうか
  2. 湿気の逃がし方を左右するメンブレンの種類
  3. 透湿性だけに頼らず、換気できる設計があるかどうか

これらはそれぞれ独立した要素ではなく、組み合わさることでレインウエアの体感に大きく影響します。ここからは、この3つの視点を順に見ていきます。

透湿性は「数値」だけでは判断できない

レインウエアを選ぶとき、透湿性の数値を参考にする人は多いでしょう。しかし、この数値は単純に比較できるものではありません。同じ素材でも、試験方法によって数値が変わることがあるためです。

その前に、レインウエアの構造を少しだけ見ておきましょう。

雨や雪から体を守るアウターシェル。その生地がどのような構造でできているかご存じでしょうか。 一見すると一枚地のように見えますが、じつは複数の生地を張り合わせてできています。

一般的には、表地・中間層(メンブレン)・裏地の3層構造。なかでも「濡らさない」という機能を担うのが中間層のメンブレンです。表地と裏地に挟まれ、目にすることのない素材ですが、アウターシェルの機能性を大きく左右する重要な存在です。

そして、このメンブレンの性能をどう評価するかによって、「透湿性」の数値の意味も変わってきます。

代表的な透湿性の試験方法として、JIS規格(JIS L 1099)で定められた「A-1法」と「B-1法」があります。それぞれ測定している内容が異なるため、数値の意味合いも変わってきます。

着用時の状態に近い評価|JIS L 1099 A-1法(塩化カルシウム法)

試験方法

衣服内の蒸れた空気が外へ放出される状態を再現した試験。生地と吸湿剤の間に空気層を設けて測定。

  • 吸湿剤入りカップを使用し、生地をセット
  • 40℃/湿度90%の環境で試験
  • カップ内の吸湿剤が吸収した水蒸気の質量から透湿度を算出

メリット

  • 着用時の状態に近い環境
  • 体感に近い評価

デメリット

  • 数値が低く出やすい

最大透湿性能の評価|JIS L 1099 B-1法(酢酸カリウム法)

試験方法

生地を水に直接触れさせた状態で測定し、メンブレン単体の透湿性能を評価。

  • 生地を水に接触させて試験
  • 吸湿剤で水蒸気を直接吸収
  • 短時間で透湿量を測定

メリット

  • 最大透湿能力を評価できる
  • 数値が高く出やすい

デメリット

  • 着用時の状態とは異なる
  • 親水性が高い無孔質メンブレンで高い数値が出やすい

A-1法は着用時の状態に近い状態で透湿性を評価する試験であるのに対し、B-1法はメンブレン単体の最大透湿性能を測るための試験です。

つまり、それぞれ測定している内容や目的が異なります。さらに、どの試験方法を採用するかはブランドによっても異なるため、透湿性の数値は単純に比較できるものではありません。

数値の大小だけで判断するのではなく、その数値がどのような条件で測られたものなのかを理解することが大切です。

透湿の仕組みはひとつではない

試験方法と同様に、透湿性の体感に影響するのが、メンブレンそのものの仕組みです。

レインウエアに使われるメンブレンには大きく分けて2つのタイプがあり、それぞれ湿気の逃がし方が異なります。

多孔質メンブレン

仕組み

メンブレンにある微細な孔を通って、水蒸気が外へ抜ける構造。

  • 水蒸気は通す
  • 水滴は通さない
  • 物理的に通過させる仕組み

強み

  • 行動開始直後から湿気を逃がしやすい
  • 蒸れ感が出にくい
  • 発汗量が多いシーンでも対応しやすい

弱み

  • 孔が皮脂などの汚れで目詰まりする可能性がある
  • 強度を確保するためメンブレンを薄くしにくい

無孔質メンブレン

仕組み

メンブレンが水蒸気を一度吸収し、内部で拡散して外へ放出する構造。

  • 孔がない
  • 湿気を取り込んで移動させる
  • 温度や湿度差によって透湿

強み

  • しなやかで軽量にしやすい
  • 風を通しにくい
  • 目詰まりしにくい

弱み

  • 湿気を吸い始めるまで時間がかかる

多孔質メンブレンは“抜けのよさ”、無孔質メンブレンは“しなやかさ”に特徴があります。どちらが優れているというものではなく、想定される環境や行動スタイルによって適した選択は変わります。

なお、近年では無孔質メンブレンの弱点である「透湿の立ち上がり」を改善した設計も見られます。それぞれの特性は進化を続けており、単純な優劣で語れるものではありません。

透湿性だけでは対応しきれない場面もある

雨のなか、登りが続く登山道を歩いていると、レインウエアの内側にじわりと熱がこもってくる。足を止めると空気が動かなくなり、湿気だけが残るような感覚になることがあります。

透湿性の高い素材を選んでいても、こうした状況で蒸れ感が出やすいのには理由があります。

透湿は、ウエア内と外気の“湿度差”によって働く仕組みです。内側の湿度が高く、外側が低いほど、水蒸気は外へ抜けていきます。しかし、雨天時の山では外気もすでに湿度が高く、霧やガスに包まれる場面も少なくありません。さらに気温が高い条件では、湿度差が小さくなり、透湿が十分に働きにくくなります。

そこに登りでの発汗が重なると、ウエア内の湿気は一気に増えます。透湿性能だけでは排出が追いつかず、結果として蒸れ感につながることもあります。

必要になるのが換気

こうした場面で役立つのが「換気」です。透湿が水蒸気を少しずつ外へ逃がす仕組みであるのに対し、ベンチレーションは空気ごと外へ排出します。脇下や胸元のファスナーを開けるだけで、こもった熱や湿気を一気に逃がすことができ、体温調整もしやすくなります。

レインウエアを選ぶ際は、透湿性の数値だけでなく、こうした換気機能にも目を向けてみましょう。バックパックを背負った状態でも機能する位置にあるか、行動中でも操作しやすいか、十分な開口量があるか。こうしたポイントが、実際の山での快適さに大きく影響します。

透湿性と換気。このふたつをうまく使い分けることで、雨の中でも動き続けやすい状態に近づけることができます。

透湿性の本質を知ると、蒸れ感は軽減しやすい

レインウエアの蒸れ感は、透湿性の数値だけで決まるものではありません。試験方法の違いや防水透湿メンブレンの構造、さらに山での湿度や発汗量といった条件が重なり、体感は大きく変わります。

だからこそ、レインウエアを選ぶときは、数値だけでなくその背景にある仕組みにも目を向けることが大切です。透湿性の評価方法やメンブレンの特性、そして換気機能まで含めて考えることで、蒸れ感を軽減しやすい一着に近づきます。

雨の中でも動き続けるために。そんな視点でレインウエアを見直してみてはいかがでしょうか。レインウエアは、ただ雨を防ぐだけでなく、行動を支えるためのウエアでもあります。その本質に目を向けることが、山での快適さを大きく変えてくれるはずです。

エバーブレスフォトン

蒸れ感を軽減しやすいフィールド仕様エバーブレス®フォトン

ファイントラック独自の防水透湿素材「エバーブレス®」を採用したレインウエア。着用時に近い透湿性を重視した設計で、行動中も湿気を逃がしやすく、蒸れ感を軽減しやすいのが特長です。ストレッチ性の高いしなやかな生地と操作しやすいベンチレーションにより、雨の中でも動き続けられる一着。

商品をご覧になりたい方や試着をしたい方は、ぜひお近くの販売店へお問い合わせください。
取扱店舗 >

友達にも教えてあげよう!

関連記事