DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 山下 良太 ■撮影:山下・山本・岡嶋・樫本

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スタッフの遊び記録
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「餓鬼岳小屋の手拭いカッコいいよね」そんな一言から今回の山行計画は始まった。というのも、餓鬼岳には餓鬼岳浄土曼荼羅なる絵図があり、独特の世界観を表している。そこに描かれている餓鬼が手拭いにも描かれていて渋いのだ。
餓鬼岳は北アルプスの隠れた名峰と言われ、行程が長く厳しいため、訪れる人の少ない山。沢登りとなれば記録も少ない。どんな光景が待っているのだろうか。餓鬼岳浄土に誘われ、餓鬼が棲む沢へと足を踏み入れた。

■アクティビティ日:2023年9月23日 ~ 9月25日

ルートは、餓鬼岳の東側を流れる乳川を遡行し二俣で北沢に入り、餓鬼岳へ詰め上げる計画だ。
メンバーは社内のアルパインクライマー達。
足手まといにならないように少しでも登攀力を付けようと思い、2ヶ月程クライミングジムに通った。
リード5.10a、ボルダー3級が登れるようになった頃、ついに本番がやってきた。

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【Day1】
下山後の車回収のため、白沢登山口に自転車をデポする。
こういう時は、コンパクトな14インチの折り畳み自転車が便利だ。
乳川沿いに車を走らせ、行けるところまで林道を進む。
マムシ平と呼ばれる辺りで準備を整え、入渓。花崗岩の川砂が白くて美しい。

乳白色の不思議な色

9月も下旬に入り、北アルプスの水の冷たさを感じる。ただ、歩き始めると、ドライレイヤー®ウォームにフラッドラッシュ®の組み合わせがちょうど良い。

寒いのであんまりドボンしたくない

ゴルジュの先には美しい滝

ここは高巻き

 

麓の天気とは打って変わって、山中は雨。上半身が濡れ続けるのはやっぱり寒い。
小滝も連続し始めたのでレインウエアを着る。
高巻きや水線突破を楽しみながら遡行していると、見事なヒョングリ滝が現れた。

これぞヒョングリ。すごい水圧だ。

しばらく高度を上げていると、北沢と中沢の出合いが近くなってきた。
予定していた1,510m付近の少し開けた辺りで泊まることに。
沢泊も稜線上のテント泊も寒いだろうと思い、今回はタープではなくテントにした。

本日のテント場

フラッドラッシュ®を脱いで乾いたベースレイヤーと保温着を着る。こういう時に、やっぱりドライって温かいと思う。(この後なんだかんだしている間に雨で濡れたけど)

そして、お待ちかねの夕食タイム。味噌鍋が身体に染みる。

身体の芯から温まる

カミナ®ドーム4に4人並んで就寝。普段はソロが多いので、人が多いとやっぱり温かさを感じる。
寝袋に入ってヘッドランプを消すと、ゴーゴーと水の流れる音だけが聞こえてきた。

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【Day2】

朝方は冷え込みが強く、寒さで起きた。
木々の間から空を見上げて晴れを確信。
やがて日が昇りキラキラと水面が輝き始めた。

今日は快晴!

朝食のラーメンを大鍋で作り、食べ終えたら行動開始。

さて、出発しますか。天気が良いと気分も上がる。

ゴーロ帯をしばらく歩くと、中沢と北沢の出合いに到着。予定通り北沢へ。
1,700m付近から少し登攀要素のある連瀑帯となってきたが、まだロープなしで登れる。


こんな感じの滝が連続する

高度を上げるにつれて崩落が激しいガレ沢と化してきた。

落石が恐ろしい

1,940m付近で4段40m程の滝が出現。
1、2段目は問題なくクリア。3段目は少し悪く、ザックはロープで引き上げることにして空身で突破。4段目は厳しく、ロープ使用。滑りも強く、緊張を強いられた。

ここが核心か?

2段目までは難しくない

3段目。ここは岩の脆さもあって少し緊張した。

そして4段目。直下でライン取りを確認。右岸から取り付くことにした。



高度もあってこの滝で最も緊張した。

2,200m付近で三俣に分岐。ここで水線が途絶えた。この辺りから崩落はさらに酷く、あちこちで落石の音が沢底に響き渡る。これ以上は危険だと判断して、登山道に一番近い所から尾根へ抜けることにした。


さらに崩落が激しくなってきた

2,250m付近で尾根に乗れそうなルンゼを見つけて、ロープを出して登る。
このルンゼがまた難しく、掴んだ岩、足を置いた岩全てが脆く崩れていく。時間的にも登るしかなく、慎重に行く。4人目がフォローで登る時には、ほとんどホールドがない状態だった。

尾根へ抜けたい。耳を澄ますと鈴の音が聞こえる。登山道は近い。

非常に脆いルンゼ。一手一手確実に登る。

ようやくルンゼを越え、20m程登ると切り立った岩峰が現れた。登れそうなラインはあるものの、時間がかかりそうだったので、草付きをトラバースして藪の中へ。
ここから40m、猛烈なヤブ漕ぎを終えて、ついに2,310m百曲り付近の登山道に出ることができた。

滑りやすい斜面のヤブ漕ぎ。バテバテに。

登山道を300m登って餓鬼岳小屋テント場に到着した頃には、空が赤く染まり始めていた。

趣のある餓鬼岳小屋

本当によくきた

裏銀座と安曇野の夜景を一望できる素晴らしいロケーションだ。

本日のテント場

テント場から30秒ほどの絶景ビューポイントへ

この日は疲れていたのと、安堵感でいつの間にか眠っていた。
稜線はやっぱり寒い。夜中に何度か起きてしまったが、満点の星空を見ることができた。

東を向けば安曇野の夜景。西を向けば裏銀座に昇る満点の星空だ。

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【Day3】

放射冷却で冷え込む朝。
朝食は各自。最近、夏も冬もメニューを固定している。
粉ミルクに練乳をたっぷり入れたホットミルクにグラノーラ。凍りづらいし軽く行動食にもなるのでお気に入りだ。何より甘くて美味しい。
下山前に、餓鬼岳山頂へ。見事な展望で劔岳から槍ヶ岳まで見渡せる。大変だったけど来てよかった。

北アルプスの隠れた名峰は伊達じゃない

登山道は噂に違わず長く厳しい。何度か渡渉もあって、かなり登りごたえのあるルートだ。随所に餓鬼岳浄土曼荼羅絵図の描写に見立てて地獄から浄土まで登山道が案内されていて楽しく下山できた。

餓鬼岳浄土曼荼羅絵図。結局、手拭いは売り切れでこれと同じもの購入した。

餓鬼が注意喚起や激励してくれる

こんなアスレチック的な場所も

餓鬼岳小屋でタクシーを呼べたので登山口にデポしていた自転車は使用しなかった(甘え?)。ただ、タクシーはスペースが厳しそうだったので自分一人、大町の温泉まで自転車を10km漕いで今回の山行を終えた。

「来年は餓鬼谷かな?」なんて話ながら神戸まで核心の400km運転が始まった。

 

遊びのMVPアイテム

ポリゴンUL

沢登り、雨や雪の山行など濡れが付きまとう状況が想定される場合にダウンを持っていくのは躊躇う。そんな時にこそ濡れても保温力が低下しづらく、濡れてもすぐに乾くインシュレーションのポリゴンULが活躍する。2023秋冬のリニューアルで、ポケッタブル仕様になったため、よりコンパクトに持ち運べて出番が増えそうだ。

ポリゴンULの商品情報へ

執筆者:マーケティング室 山下 良太

2021年入社

表参道にある直営店TOKYO BASEからマーケティング室へ。林道ツーリングやBCスキーが好き。寒いのは苦手。最近は兵庫の林道を駆け巡っています。

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