DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

ここ何年か立山のシーズンインは遅く、アルペンルートの閉鎖まで十分な積雪とならない年もあった。そんな中、例年になく早い雪の便りが入ってきた。
投稿が遅くなってしまったが、これは11月頭の記録である。
【アクティビティ日】2017年11月3日~5日

アプローチに選んだ長野県側からのルートは、立山黒部アルペンルートの起点が扇沢となる。
扇沢はちょうど紅葉のピークを迎えており、これから行く先を見上げると3000m級の稜線はわずかに白んでいる気がしないでもない。

雪が付いたと聞いて慌てて飛んできたが、果たして本当に滑る雪があるのか、不安になってきたのが正直な所だ。私の呼びかけに応えて北海道ニセコから飛んできたパートナーの手前、そんなことを思っていても口にするわけにもいかない。

室堂に到着すると、事前に作成していた登山計画書を山岳警備隊に提出し、周囲の山の状況を教えていただく
翌日未明から夕方にかけて、30cm以上の降雪する見込みであることを知らされる。
しかし、滑走に十分な積雪はまだない。とのことだ。

実際に外へ出てみると、下草の生えた地面と、岩だらけの斜面が見える。

たしかに雪はまだ少ないようだ。
翌日の降雪がない限り、おとなしく滑らず帰ることにしようと話し合った。
まずは、3日間拠点とする雷鳥平を目指す。

何も難しいところはなく、ただツボ足で、雪の下の遊歩道沿いに立てられた竹竿に沿って歩くだけだ。
ほどなくして周囲から観光客がいなくなる頃に、雷鳥沢ヒュッテにたどり着く。

ここから降れば雷鳥平のテン場であるが、嬉しいことに我々の目の前の斜面は、状態の良い雪がそれなり積もっているように見える。
ここで始めて板を履くことにした。
正午近いというのに、それなりに乾いた雪だ。

半年ぶりの浮遊感を味わう。
加重し深いターンをした途端、ガリっという嫌な音とともに軽い衝撃を受ける。
やはりまだ雪が少なく、底当たりする。

この日はベースキャンプの設営にとどめ、おとなしく明日以降に備えてのんびり過ごす事とした。

今回あえてテントではなくツエルトにした。
軽量化というより、建て方次第で、二人用テントよりも広いスペースを作れる汎用性の高さからだ。
スキーとロープとカラビナを使って、設営する。

早く始めすぎた宴会に飽きて外に出てみると、立山は月夜に照らされていた。

翌日起きてみると、新しい積雪は5センチ。
どんよりとした色彩のない世界。

 

この日はこれから天候が悪くなる見込みだ。
おとなしく停滞とするも、あまりに退屈で半雪洞へ引っ越しをすることにした。
気温も高くあまり締まっていない雪のブロックで作った天井から、雨が降る。

十分に厚みをもたせていたので、崩落の心配はないが、ポリゴンネストとポリゴン4ジャケットをビショビショにしながら一晩を過ごすハメになった。

翌朝外へ出ると、ちょうど月が沈みゆくところだ。

劔御前方面へ目をやると、すでに3パーティが斜面に取り付いている。
皆月明かりの中行動をスタートさせている。

我々が狙っているラインも、彼らが行くラインも、西か南西方向の斜面で、賞味期限が短い。
歩き始めた頃には、太陽が稜線越しに顔を出す。

次第に雪は重たくなってきた。
欲はかかず、雷鳥坂登山道と出会った2650m付近からドロップインする事とする。

雪の下に隠れた岩に警戒しながら、滑っていく。

重たいながらにスプレーも上がる。

あとは雷鳥平で装備を回収し、室堂へ引き返す。
3日間で滑った距離はおそらく3キロにも満たないが、気持ちの良い一本でシーズン開始を迎えることが出来た。

 

滑降系のシェルとして基本性能を満たしつつ、ストレッチ性能を持つアウターシェル。厳冬期仕様の生地厚の為、11月初旬に着るには暑過ぎるのではと懸念したが、生地自体の高い透湿性とリンクベントのおかげで、効率的な換気ができ、オーバーヒートする事なく行動できた。ストレッチする防水透湿生地は、ハードシェル特有の擦れる音が少なく、非常に快適だ。

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