最強の5レイヤリングとは

投稿者: fun to track 編集部

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バックストーリー

よりアクティブな秋冬用ミッドレイヤーを目指して、2018年9月にリニューアルした「ドラウト®クロー」。手に取ると、生地全体にストライプ模様が入っていることに気付いていただけます。一見なんのことはないストライプ。しかし、このストライプにこそ「ドラウト®クロー」の最大の機能が秘められているのです。

起毛素材の「軽さ」を新しいドラウト®クローに

「フリースは1度濡れたらなかなか乾かない」。そんな常識を覆した商品が2016年に発売を開始した「ドラウト®レイ」でした。
独自の生地構造で実現した、「汗処理する起毛素材」。この素材によって行動時も快適に着続けられる、特殊な起毛素材のミッドレイヤーが誕生したのです。

そこまでこの素材にこだわる理由は、嵩高さと軽さを両立できるという強みにあります。軽くて温かいウエアを創る際に、起毛素材は非常に有益なのです。

それなら、「ドラウト®レイ」よりもさらに発汗の多い時期やアクティビティに向けたミッドレイヤー「ドラウト®クロー」にもこの起毛素材を使って、より軽快な着心地に仕上げられないか。
そこからスタートしたのが、「ドラウト®クロー」リニューアルに向けた開発です。

凹凸のひらめき

ミッドレイヤーのなかでも発汗の多いシーンでの使用を想定した「ドラウト®クロー」。
求めたのは行動中の熱を放出する通気性でした。

生地の通気性を高めるためには、生地の編み密度を低くするという方法がありますが、そうするとせっかくの起毛が寝てしまい保温性が低くなってしまいます。
起毛の嵩高さを保ちながら、通気性を高めるにはどうしたらいいか。それが今回の生地開発にあたっての、第1の課題となりました。

起毛の長さを短くする、密度を調整する…。
さまざまなアプローチがある中、ある発想に行きつきます。

「起毛ばかりに頼らなければいいんじゃないか!?」

それは生地に起毛のない部分を設けて凹凸をつけ、空気の通り道をつくること。さらにその凹部をメッシュにすることで、通気性を上げること。
つまり、起毛生地と非起毛生地を交互に配置した、ストライプ構造でした。

生地を裏側から見ると、起毛と非起毛の凹凸がきれいなストライプを描いていることが分かります。


早速その生地を製品に仕立て、フィールドテストをしたテキスタイル開発担当・三宅毅は、「ドラウト®クローなら、このストライプ構造の利点を最大限に引き出せる。」と確信したと言います。

一般的に考えれば、通気性に優れるウエアは、すなわち寒い。通気性の追求は、保温というミッドレイヤーの基本性能とのせめぎ合いでもあります。
しかし、ファイントラックのミッドレイヤーはレイヤリング使用を想定したもの。そのため通気性を高めたストライプ構造の起毛生地も、ミッドシェルやアウターシェルを上に重ねることで寒気の浸入を抑え、温かさを保つことができます。
さらにウエア内が蒸れる運動中には、この優れた通気性は大きなアドバンテージになります。ストライプの凹部を通して空気が流れ、効率的な換気を助けるからです。

3つのストライプ

ストライプ構造が、生地の嵩高さと通気性を両立できることが分かると、次なる課題は、ドラウト®クローの使用シーンで必要なだけの通気性の調整と、アウトドアフィールドでの使用に耐えられる表面強度の確保でした。

この課題を受けて開発したのが3種類のストライプ。
それぞれ、凹凸のコース数(段数)と、糸の種類を変えたものです。

1枚目は、ストライプの凹部を2コースにして編んだもの。凹部のメッシュを2コース分取ることで十分な通気性を確保しようとしたのですが、逆に通気性が高くなりすぎてしまい、テストの結果、秋冬に使うミッドレイヤーとしての保温性の基準を満たすことができませんでした。

1枚目の生地は、凹部を広く取った結果、通気性が高すぎた(写真は裏側から見た状態)。

2枚目は、凹部を1コースで編んだもの。1枚目の反省から1コース分減らすことで、程よい保温性と通気性を持たせることができました。しかしここで新たな問題が…。
凹凸の生地をひっくり返して表面から見てみると、凹部に用いたメッシュの糸が出っ張り、スムーズな平滑さが損なわれていました。これでは、上に着るウエアや岩などとの摩擦で、引っ掛かりが生じて傷みやすくなってしまいます。つまり生地の表面強度が確保できないため、残念ながら過酷なアウトドアでの使用環境に耐えられません。

2枚目の生地は、凹部が表側から見ると出っ張ってしまっている。これでは表面強度を確保できない。

そこで3枚目は、凹凸のコース数は2枚目と同じ。ただしメッシュ部分に使用する糸の原料を変更しました。もともと生地にストレッチ性を備えるため、性質の異なる複数の糸を掛け合わせているのですが、その糸の組み合わせを変えることで、生地の収縮に微妙な変化が生まれ、裏から見ると凹凸でも、表面は出っ張りのないスムーズな生地に編み上がったのです。

表面が平滑な3枚目の生地。これなら表面強度も確保できる。

どの原料を組み合わせれば、どんな編み上がりになるか。予想するのは非常に困難で、完成してみないと分からないことが多いのも生地開発の難しさ。「3枚目で実現できたスムーズな表面生地は、各工程で開発に関わったエンジニアたちの経験値の高さと勘所の良さを物語っている。」と三宅は言います。

適度な通気性と保温性、表面強度を備えた生地。
秋冬のハードなアクティビティに使用するドラウト®クローに最適なストライプの誕生です。

フィールドテストでストライプ構造の有用性を確信、本格的な生地開発に向けて舵を切った。

ストライプを、より動きやすいデザインへ

こうして完成したストライプ構造の生地でしたが、製品にするにあたって、今度は商品企画担当・中島摩有子を大いに悩ませます。

「ヨコ方向のストライプ模様をウエア全面にそのまま使うと、平易な印象になってしまう。」

しかし中島には、ドラウト®クローの使用シーンであるハードな秋冬のアクティビティを想定させるような、「シャープなデザインに仕上げたい。」という想いがあったのです。

それならば…と着想したのが、ストライプの方向に変化をつけること。
見た目だけでなく、機能を伴うデザインに仕上げたい。目を付けたのは、生地のタテヨコによるストレッチ性の違いでした。

例えば、脇下の部分。ストライプはタテ向きになっています。ここは腕の上げ下げによって、ストレッチ性が求められる部位。腕の動く方向に対して生地を伸びやすい向きに使うことによって、動きに追従しやすくなります。

また、肩の部分は、生地のストレッチによる襟元の着崩れを防ぐために、肩の方向に対して伸びにくい向きに生地を配置。

このように生地の方向に変化をつけるデザインで、動きやすさを向上。そして狙い通り、ストライプの向きの違いが生む「切り返し」で、ウエアの表情にもシャープな変化をもたらしたのです。

機能としてのストライプを生かした「運動性」と「デザイン性」にこだわった。

生地開発と商品企画。2人の開発者がたどったストライプとの闘いの産物。
それが、新たなミッドレイヤー「ドラウト®クロー」です。

 

「着る、軽快感。」
汗処理する起毛素材に、程よい保温性と通気性を持たせたことで、発汗の多い運動中も、ウエア内のムレを感じさせないミッドレイヤー「ドラウト®クロー」。
場所によって生地使いを変える立体デザインで、運動性も備えます。
秋冬のハードなアクティビティを、軽快に動きたい人に。

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