最強の5レイヤリングとは

投稿者: 相川 創  ■写真:相川、大西、田中

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スタッフの遊び記録
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「キャニオニング文化の中心地、ヨーロッパでのキャニオニングを楽しもう」
そんなプランが出たのが、3月のニュージーランド・グルーミーゴルジュのキャニオニングエクスペディションの時だった。
私以外はフリーランスのフットワークの軽いメンバーだけに、やろうとなったら話は早い。トポを入手して、情報収集。目的地は、スイスおよびイタリアから、面白そうな渓谷をピックアップして、天気を見ながらよさそうなところに行くスタイルとし、メンバーそれぞれ都合の良い日程で行くことになった。勤め人の私が一番短い日程となってしまったが、9月1日~9日の9日間の日程でキャニオニングツアーに出発!

■アクティビティ日:2018/9/2-8

「キャニオニング文化の中心地、ヨーロッパでのキャニオニングを楽しもう」
そんなプランが出たのが、3月のニュージーランド・グルーミーゴルジュのキャニオニングエクスペディションの時だった。
私以外はフリーランスのフットワークの軽いメンバーだけに、やろうとなったら話は早い。トポを入手して、情報収集。目的地は、スイスおよびイタリアから、面白そうな渓谷をピックアップして、天気を見ながらよさそうなところに行くスタイルとし、メンバーそれぞれ都合の良い日程で行くことになった。勤め人の私が一番短い日程となってしまったが、9月1日~9日の9日間の日程でキャニオニングツアーに出発!

■そもそもキャニオニングとは
単純に言えば、沢を、特に「ゴルジュ」と呼ばれる深くえぐれた渓谷を下って楽しむ遊びだ。日本では商業ツアーとしては行われているイメージが強く、趣味として実践している人は少ないだろう。
「沢登り」が日本独特の文化だというのは、ご存知の方も多いと思うが、世界的には沢を下る「キャニオニング」のほうが完全に主流だ。沢登りが行われているのは、日本と、日本からその文化が伝わった台湾と、あとはスコットランドなど一部の地域だけのようだ。
キャニオニングはケイビングのトレーニングとして始まったと聞いたことがあるが、シングルロープテクニックを中心としており、クライミングの延長にある沢登りとは技術的にも全然違う。ただ、より水線に近いところを通過していくため下る技術、流れる水に対処する技術に関しては沢登りにおいても非常に参考になることが多い。

ガイドが使用していた面白いロープワーク。両端リリーザブルな支点だ。

クライミングが盛んなヨーロッパで、なぜ登る文化が広がらなかったのかと疑問に感じるかもしれないが、それは行ってみれば一目瞭然。水線沿いに全く登ることができないのだ。これなら下ったほうが断然面白い。また、街からごく簡単なアプローチで素晴らしいゴルジュの上に行けてしまう、そんな渓谷が無数にある地形も大きい。日本で沢登りをすることに比べても、ずっとハードルは低いなと感じた。
もともと沢登りをベースとする筆者であるが、登ることも下ることも面白い。その場所に応じた方法で、技術的もミックスしながら、どっちも楽しんでしまおうというスタンスだ。

■トポおよびギア
このエリアでのルートの解説及びトポで、国内で入手できるものとしては、CICERONEの「CANYONING IN THE ALPS」が詳しい。アプローチもここに記載されている情報で十分。
トポに掲載されているルートに関しては、基本的に支点は整備されており、支点工作のための道具などは必要ない。また、多くのルートでSuperiore(上部)、Intermedio(中部)、Inferiore(下部)などのように、いくつかのセクションに分かれており、時間とレベルに応じてルートを選ぶことが可能だ。
一定以上のレベルのルートでは、水流にまかれるリスクは高く、ダイナミックロープでの単純な懸垂下降で下ることは薦められない。スタティック、もしくはセミスタティックロープを使用してのシングルロープテクニックの使用がベターだ。

■キャニオニングのグレードについて
キャニオニングのグレードは、V○ A○というように、Vertical(ラッペルなど、垂直方向の難易度)とAquatic(水流など、水に絡む難易度)によってグレーディングされている。
それぞれ1から7まででの数字でグレーディングされていて、かなりアバウトだが
3までは余裕。
4で少し緊張する箇所が出てくる。
5はややヤバい
6はかなりヤバい
くらいの感覚だ。

■生活など
どのルートも街に近く(ほぼ街の裏)、ベースは街に取るのが良い。物価の高いスイスでは下記のキャンプ場を利用(同様のキャンプ場はあちこちにある)。一泊12スイスフランだった。
https://www.camping-riarena.ch/campingriarena
イタリアでは、格安のホテルやAir bnbで見つけた宿を転々とした。
キャニオニングルートへのアプローチは車は必須で、レンタカーを使用した。

■9月2日 イタリア VAL D’OSSOLAエリア GONDO V4 A4

9月1日に日本を発ち2日の早朝にミラノ・マルペンサ空港に到着した。先に現地入りしていた大西さんと合流して、この日は短時間で行けそうなイタリアからスイス国境越えてすぐのGondoという谷を目指すことにした。
この後行くスイスのTicinoもそうだが、このあたりのエリアはgneiss(片麻岩)という岩で構成されていて、ほぼ見た目花崗岩なのに、石灰岩ゴルジュのようなえぐられ方をしているのが特長だ。序盤は簡単だが、中盤で強烈なゴルジュに突入。最後に上越の沢のような開けたスラブ帯を下って街の裏にゴール。
渓谷沿いの小さな町から車で10分、アプローチ5分でこの内容とは!
このエリアのポテンシャルの高さを感じさせてくれた。

見事な天然の石橋。ちょうど良い天然の飛び込み台だった。

途中から強烈なゴルジュに。水流のど真ん中を抜けていく。

開けたスラブ帯を抜けて、町のすぐ裏にゴール。

■9月3日 スイス TICINOエリア Iragno(Superiore+Inferiore) V4-5 A4

最後のメンバー、Akiraさんも到着して、ヨーロッパにおけるキャニオニングのメッカとも言えるスイスのティチーノへ移動。
移動にも結構時間がかかり、到着は昼頃。そこからローカルのガイドのマイケルに案内してもらって、お勧めの谷Iragno V4-5 A4に行くことになった。
素晴らしくえぐれたゴルジュの中を序盤は8m〜10mくらいのジャンプの連続でこなし、中盤からはテクニカルなラッペルが続き、最後はまた飛んで滑って、町中にゴールという、凝集されたファンキャニオニングの谷だった。
コレは面白い!

スイスらしい町のすぐ裏から始まるのがこのエリアの特長。

序盤は飛びまくる。

どうしてこんな形にえぐられるんだろう。

中盤は水線を行くテクニカルなラッペルが続く。

InferioreのヤバいToboggan(スライダーのこと)。私はラペルした・・・。

■9月4日1本目 Lodorino(Inferno) V5 A5

しばらく、スイスのTicinoに定着だ。
ローカルのキャニオニングフォトグラファー、Alexが集めた国際色豊かなパーティで、Alex曰く「ヨーロッパのベストキャニオン」だというLodrinoへ行くことになった。それなりにヤバいところなので、前日のうちに偵察。水量はやや多めだが大丈夫だろうという判断になった。
グレードV5A5なので結構身構えて行ったが、そんなにヤバいところはなく、とにかく美しく、そしてエキサイティングで楽しい谷だった。特に、終盤の大滝を連続して抜けていくセクションは特筆すべき美しさだ。
はじめてのヨーロッパのキャニオンで、Lodrinoに行けるなんでラッキーだと言われたが、ホントにそのとおりの素晴らしいところだった!

8~10mクラスのジャンプを何本かこなして小手調べの後、ひときわ高い10m超のジャンプ。

楽しいToboggan 7mくらいか。

屈折したゴルジュの中をひたすら進む。ほとんど泳ぎ。

滝を突き抜けて行く45mのラッペル。

洞窟のような中を落ちる35m滝。

にぎやかで楽しく、そして強いメンバーだった。

■9月4日2本目 Pontirone(Inferno) V4 A4

Lodorinoは9人パーティにも関わらず強いキャニオニアばかりだったので、皆すごく手際よく速い。意外と早く終わったので、日本人だけのチームに戻って、二本目の谷として短いながら五つ星の評価のPontironeへ。
午後遅めの入渓にもかかわらず、前にワンパーティ、後ろに2パーティの大盛況。
それも納得の見事に凝縮されたファンキャニオニングの谷だった。

気持ちの良いアプローチ。

45m大チョックストーン滝のラッペルからスタート。

そのあとは見事に狭まったゴルジュが続く。すべて飛び込みでクリア。

歴史のありそうな石橋がゴールで迎えてくれた。

■9月5日 Cresciano(Superiore+Inferiore) V4 A3

なんとこの日はヘリキャニオニングに混ぜてもらうことになった。
スタート地点までヘリでひとっ飛びで、沢中だけでコースタイム5.5〜9時間のロングコース、Crescianoへ。
昨日までとちょっと違った明るいゴルジュで、ルート工作は2人のローカルのプロフェッショナルにほぼやっていただくという、エンジョイキャニオニングだったが、とにかく長い!
「ジャンプ疲れ」というのを初めて味わう谷だった。

人生初ヘリだ。

10mオーバーのビッグジャンプから始まる。

上に取水堰堤がある関係で、水が少ない谷。出口のない釜も。

一体何メートルあるの?のビッグジャンプ。

開けた空間の巨大なプールにダイブ。

空中に投げ出されるToboggan。姿勢を保つのが難しい。

終盤は明るい渓相の中をまさに町に向かって下降。

■9月6日 Osogna V4A4

ティチーノエリアの最終日。このあたりの谷に入っていると、ひときわ目立つ大岩壁があり、その下に深く切れ込んだ渓谷が見えて気になっていたのだが、その谷、Osognaに行くことになった。
ほとんどの滝が絶妙に水線ど真ん中を降れる形で、ティチーノの最高の谷の一つというのも納得だった。
最後は開けた明るい谷を、14mのtobogganで締め。
いろんな国のガイドのトレーニングパーティが入っていて大盛況であった。

Aquaticな水線ど真ん中の下降が連続。

ハイライトの始まり。フォトジェニックな50m滝のど真ん中を行く。

その下の30mくらいの滝。

締めはほぼ垂直の14m toboggan 発射!

■9月7日 イタリア COMOエリア Cormor V4 A3

私にとってはこの日がツアー最終日。イタリアに戻って、Comoの奥地にある五つ星の異色の谷、Comorへ。
どこが異色かというと、ルートの大半が闇の中!洞窟のような谷なのだ。
闇の中に降りていく下降があったと思えば、水の流れる迷路のような隙間をくぐり抜けて行く。何処かで詰まったりしないかとなかなかスリリングだった。ほとんどケイビングの世界。水があまりきれいでないのが玉に瑕だが、非常に面白い異空間だった。

洞窟の入り口。

更に暗い中へ。

水面ギリギリの隙間を抜けたり。

迷路のような隙間をルートファインディングしながら抜けていく。この谷はトポがさっぱり役に立たない。

暗闇の中の水線下降。

詰まったらどうしようというような水の流れる隙間を抜けていく。

牧歌的な風景の中にゴール。明るいってありがたい!

約一週間の滞在だったが、全日程谷に入れて、いい谷ばかり7本も降れて、非常に充実したツアーだった。日本で、このようなゴルジュの中に入ろうと思ったら、長いアプローチをこなして、沢登りをして、ようやくたどり着けるところがほとんど。
町のすぐ裏に、このようなゴルジュを擁する谷がいくらでもあるこのエリアのポテンシャル恐るべしといえるだろう。
一方で、もう少し冒険の香りがする谷が、恋しくなってくるツアーでもあった。日本に帰ったら、逆に泥臭い沢登りもしたいね!

 

アルプスから流れ出す水は極めて冷たく、しかも水につかりっぱなしのキャニオニングではウォーターレイヤリングよりはウェットスーツのほうが向いている。
しかし、実はウェットスーツの下にアクティブスキンを着るのはお勧めの着用方法。保温性をプラスしてくれるし、汚れも防ぎ、さらに脱ぎ着も楽になる。

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