ドライ、だから温かい ドライを重ねる 5レイヤリング

9/12022

【Made in Japan】究極のフィット感を支える「Made in Kagawa」の職人技、エバーブレス®グローブ

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ファイントラックは創業当時から「Made in Japan」のモノ創りにこだわり続けています。この秋リニューアルとなったエバーブレス®アウターグローブの3シリーズも、香川県東かがわ市にある「創佳舎」での製造のもと、新たな挑戦をカタチにすることが叶いました。

ファイントラックは創業当時から「Made in Japan」のモノ創りにこだわり続けています。日本の繊維技術や縫製技術の高さに信頼を置いているのはもちろん、国内での一貫したモノ創りを通じて産業自体も元気にできる。微力ではありますが、そう考えているからです。

そんな信念を持ちながらも、唯一グローブの製造だけが2017年まで海外生産を余儀なくされていました。国内生産の実現を模索し続ける中、私たちはある工場と出会います。それが、香川県東かがわ市にある少数精鋭のグローブ縫製工場「創佳舎」です。

かつて、この東かがわ市は手袋製造で隆盛を極め、世界に向けて輸出を行う一大生産地でした。


手袋製造で隆盛を極めた時代(およそ100年前)の東かがわの手袋工場
画像出典:日本手袋工業組合

現在も国内シェアの90%を占める一方で、徐々に安価な海外生産品に取って代わられ、あちこちから聞こえていたミシンの音も時が経つにつれ静かになっていきました。しかし、香川の地に優れた職人技は確かに受け継がれていました。

ファイントラック企画 相川(左) と 88プロジェクトを主催する創佳舎代表 森さん(右)

スポーツグローブの開発・製造に30年以上携わる代表の森茂樹さんは、2015年に「創佳舎」を立ち上げ、香川の職人技を再興し継承する「88(Hachi-Hachi)Project」を主催しています。

ファイントラックはこのプロジェクトを応援し、理想のモノ創りを実現するべく共に研鑽を重ねてきました。

創佳舎とのモノ創りは今期で6年目を迎え、2022年秋冬の「エバーブレス®グローブ」では、試行錯誤の末に大幅なリニューアルを成し遂げました。国産防水アウターグローブとして生まれ変わったエバーブレス®グローブの開発背景を、森さんと企画を担当したスタッフの相川創に語ってもらいました。

 

たどり着いた防水性とフィット感の両立

――今回生まれ変わったエバーブレス®グローブについて教えてください。

相川:今回のエバーブレス®グローブは、ストレッチ性を備えた「グローブ専用の2レイヤーのエバーブレス®+防水インサート+撥水生地」の3層を結合させ、優れたフィット感を実現しています。最もこだわったのはアウターグローブとしての防水性を確保しつつ、実際の利用シーンにおける操作性も妥協しないことです。

:ファイントラックとのモノ創りは、求める機能にこだわるからこそ、通常手袋にはあまり使わない素材が採用されることも多いんです。今回のエバーブレス®グローブも、スポーツグローブのノウハウがあるとはいえ、難しい挑戦でした。

相川:実は内側には、フラッドラッシュ®EXPグローブに使っているウォータースポーツ用の撥水ニット生地を採用しています。通常、アウターグローブの内側には、縫製のしやすさもあってストレッチ性がない布帛(ふはく)を使うことが多いんです。

ですが、今回の開発にあたっては、せっかく外側にストレッチ性のあるエバーブレス®を使うので、内側にもストレッチ性のある生地を採用して、より手指の動きにストレスを感じさせないようにする狙いがありました。また、グローブの内側はとにかく乾きにくいので保水しない方が良くて、さらに何らかのダメージで防水性が低下しても中に水が浸入しにくい撥水生地を、というこだわりがあったんです。


グローブ裏側生地の撥水性(左)と柔らかなストレッチ性(右)

:生地の要望を伺った段階では、正直「難しいかもしれない」と考えていました。内側の生地にストレッチ性があり過ぎると、ミッドグローブを付けた状態で装着したときにスムーズに手を入れにくい問題が起こるからです。ただ、ファイントラックとのモノ創りは既存にはない高みを目指してやっていますし、私も職人としてのプライドがありますから、簡単にノーとは言わずに挑戦を続けました。

相川:「手入れ」の悪さの問題は、まさに試行錯誤の連続でしたね。ストレッチ性を必要としない箇所に伸びない生地を組み合わせることで、スムーズな「手入れ感」とストレッチ性を両立させることができました。

 

香川の職人だからこそ実現した立体的なシルエット

――新生エバーブレス®グローブは、「国産の防水アウターグローブ」という点も大きな特徴ですよね。

エバーブレス®グローブの中に使用されている防水インサート(右)
※グローブ下部は分かりやすさのため生地をカットしています。

相川:防水構造の確立にも色々な苦労がありました。国内で防水インサート入りのグローブを生産しているケースは稀なんですが、特に苦労したポイントは、中地にあたる防水インサートをどうやって固定させるかでした。

昔の一般的なアウターグローブはインサートを固定せずに表地と裏地に挟み込むことが多く、フィット感を犠牲にしていました。海外生産でその点を克服した商品が徐々に現れて、それをなんとか国産でできないか、というのが今回の挑戦でした。


防水インサートの貼り付けを思案した際のサンプル図

:インサートを固定させるために特殊なテープを使うと決まったあとも、今度はどの場所にテープを貼ればフィット感を損なわないか、何度も試作を繰り返しました。試作した数は、10パターンを軽く超えていると思いますが、正確には覚えていないほどです。

――エバーブレス®グローブは立体的なシルエットも特徴の一つです。ここにたどり着くまでも苦労したんじゃないでしょうか?

:目立たないかもしれませんが、こだわったポイントがあるんです。指先の縫製位置は、指の腹から指先にかけてあえて爪側に回り込んだ仕様にしています。この縫製は量産時の効率や耐久面を考慮した「Flog cut設計」というオリジナルの方法なんです。


森さんオリジナルの「flog cut設計」による立体的に縫製された手指の先

相川:はじめて試作を装着したときに感じたのですが、この縫製はフィット感の向上にも大きく貢献していると思います。

:平面的にペタッと縫い合わせるのではなく、指先を少しフワッと膨らませて縫製するなど、細かいところまで丁寧に仕上げています。設計でも苦労して、量産でも非常に高い技術が求められますが、この立体的な縫製は香川の職人だからこそできたと思います。

 

 

フィット感と利便性、シーンに応じて

――エバーブレス®グローブは3アイテムを展開しています。それぞれの違いについても教えてください。

相川:アルパインフィットグローブは究極のフィット感を目指したのに対して、スノーシェルグローブとスリーフィンガーシェルグローブは、ミッドグローブなどとレイヤリングして使う想定です。レイヤリング前提の2アイテムは、少し余裕を持たせたサイズ感に仕上げてあります。

アルパインフィットグローブは、シビアな操作が要求される冬のクライミングなどに使うことを想定しています。他方、通常の登山を考えると、アウターグローブとインナーグローブを分離できた方が便利です。今回のエバーブレス®グローブは、フィット感を重視するか、あるいはレイヤリングできることを重視するか、使うシーンを考えて選んでいただければと思います。

森さんや創佳舎の職人たちは、「モノ創りに終わりはない」と語り、日々成長し続けることを大切にしています。彼らの高い技術と熱い情熱が、ファイントラックの掲げる「Made in Japan」のモノ創りを支えています。厳選した素材に命を吹き込む職人技の神髄を、ぜひ体感してみてください。