
自分に適した1本とは? トレッキングパンツ選びは、登山ビギナーの人にとってはもちろん、近年の猛暑傾向によってベテラン登山者の人にとっても難しい問題となってきているのではないでしょうか?
2007年のストームゴージュアルパインパンツ発売以来、少しずつパンツのラインナップを増やしてきたfinetrack。その理由は、一人ひとりのアウトドアスタイルに適した選択肢を提供したいから。
そんな私たちのもとに、Outdoor Gearzineの方が取材に来てくださいました。
アウトドア道具に関する実用的で信頼のおける情報提供を目指し発信をされているWebメディア、Outdoor Gearzine。その運営者である久富保史さんが2月某日、finetrackの神戸オフィスにお越しくださいました。
本ページでは、その際に取材いただいたパンツの選び方に関する記事を、Outdoor Gearzineの許可をいただいて転載しています。
(―fun to track編集部)
目次 |
「涼しくて動きやすいパンツなのに、すぐに生地が破けてしまい台無しに」
「丈夫なパンツだからいいと思ったら、歩くたびに膝が突っ張って歩きにくい」
「濡れやすく乾きにくいパンツは不快だし、身体の冷えがなかなかおさまらない…」
多くの登山ビギナーが一度は通るであろう、登山用パンツ(トレッキングパンツ)でのこんな失敗。
かつてはニッカボッカに始まり、シンプルなロングパンツが主流だった山のボトムス事情も、ここ数年でますます素材の高機能化、アクティビティの細分化などによって選択肢が激増し、それぞれのシーンやアクティビティに細かくマッチした一着が選べるようになったといえます。
ただ一方で、多様化したがゆえに、「本当に自分に合う一本」が見つけにくくなっているのも事実。今やビギナーのみならずベテランでさえ「結局どれが正解なのか?」と迷う場面は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、自らを「遊び手=創り手」と定義し、理想の追求のためならわずかな妥協も許さない徹底した現場主義で知られる「ファイントラック」開発担当の田中さんと相川さんに、優れた登山用パンツに求められることと、自分にとって最適なモデルの選び方について、登山者目線でとことん疑問をぶつけてみました。
トレーニングウェアやワークパンツではなぜダメなのかといった素朴な疑問から、「なぜポリウレタンではなくメカニカルストレッチなのか?」「世界最高レベルのの耐久撥水性にこだわる理由とは?」といったファイトラックの考える最高のトレッキングパンツについてなど、ここでしか聞けないトレッキングパンツ作りの裏側に迫ります。
返ってきたのは、「濡れ」、「足上げ」、そして「丈夫さ」に対する執念ともいえる徹底したこだわり。そこにはただのパンツではない、快適に歩き続けるための「ギア」としてのトレッキングパンツを追求する徹底したモノづくりへの信念が込められていました。

プロダクト事業部 商品開発課 次長 相川 創
2008年入社。入社当初は基幹システム開発などを手掛けつつ、金山代表の下でアウトドア商品企画を学び、現在商品開発課。テレマークスキー、クライミング、沢登り、最近はキャニオニングや、ケイビング、パックラフトを使ったマルチアクティビティなど多岐にわたるアウトドアに親しむ。

プロダクト事業部 マテリアル開発課 課長 田中由希子
2015年入社。今やファイントラックを代表する製品である高性能アンダーウエア「ドライレイヤー」をはじめ多くの先進的な素材・生地開発を手掛ける。同期の中山と、アウトドア&アルコールに勤しむ日々を送り、社内の愛称(?)は、居酒屋山行コンビ。
トレッキングパンツとは、(当たり前ですが)端的に言うと「登山に使うことを想定してしっかりと作りこまれたパンツ」ということになります。当然他の用途に作られたパンツに比べれば登山に適しているに決まっているのですが、ではいったい特に「何が違うのか?」明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。
そこでまずはじめに「トレッキングパンツは他のパンツと比べて何が違うのか?」「トレッキングパンツとはそもそもどんな特徴をもち、どんな機能が求められるのか」という点から明らかにしてみます。
Q1. ビギナーの失敗:「登山するとき、動きやすいトレーニングウェアや、丈夫なワークパンツじゃダメなんですか?」
登山ビギナーの方の中には、天気も穏やかだし、動きやすければいいやと思ってトレーニングパンツで行ったら、「かいた汗がずっと乾かず不快なままだった」とか「木の枝に引っかけたり、岩との擦れで破けてしまった」などといった経験がある人がいます。また丈夫だからとワークパンツを穿いていったら「歩くたびに膝が突っ張って歩きにくかった」といった人も。トレッキングパンツならそうした不快や危険はないのでしょうか。
A1. プロ(ファイントラック)の回答:「トレッキングパンツは動きやすさ・丈夫さ・濡れや蒸れへの対策、これらの機能をまんべんなく兼ね備えているところが決定的に違います。」

スポーツ用トレーニングウェアやジャージは動きやすく汗も吸いますが、乾きやすいというわけではありません。長時間行動する登山では、濡れたままの生地は不快だし、ウェアも重くなるし、体もずっと冷えたままなので、危険な状態を引き起こしてしまいます。またトレーニングウェアの生地表面は引っかかりやすいので、木の枝やザラザラした岩などで傷つきやすく、耐久性の面でも十分とはいえません。
一方で作業用のワークパンツは確かに丈夫かもしれませんが、パターン(裁断)は直線的でストレッチもきいていないものが多く、これでは登山特有の「足を高く上げる」動作に十分対応できずに動きが制限されてしまいます。
つまり登山で着用するトレッキングパンツは「動きやすい」だけでも、また「丈夫」なだけでも十分ではなく、それらをすべて兼ね備えている必要があり、トレッキングパンツが他のウェアと決定的に異なる点は、このように多様な機能を兼ね備えているという総合的な機能性の高さにありるといえます。
Q2. ビギナーの疑問:「ゆったりした太めのパンツの方が動きやすくて楽なのでは?と思って穿いていったら、大きな動きで歩きにくくて困った…」
登山をはじめたばかりのとき、「動きやすい服装」といわれて思い浮かべたのが「大きめのサイズや太めのパンツ」。締め付けられるのが嫌なので何となく「太めのパンツの方がよりいいのではないか?」と考える人もいるのではないでしょうか。ただそこには日常生活からは想像できない、登山特有の盲点があるといいます。
A2. プロの回答:「一般的な太めのパンツは、登山ではときに『動きにくさ』の原因にもなり得ます。」

確かに太めのパンツは平地をゆっくりと歩く程度の小さな動きだったら、それなりには動きやすいかもしれません。でも実は登山ではときに「動きにくさ」の原因にもなり得るということは注意が必要です。山では「足を高く上げる」「岩をまたぐ」といった動作が連続します。そんなとき太いだけのパンツでは、膝が引っ掛かって足を上げにくくなってしまいます。また、太めのパンツは生地の分だけ重いですし、余った生地がバタついて岩や枝に引っかかるリスクや、足元が見えにくくなるといった危険性も生まれてきます。
このため、登山用パンツの幅は太すぎず適度に留めながら、大きな動きでも自然に足が動くように「立体パターン」を施したり、「ストレッチ性」のある生地を採用するなどしてデザインします。
その意味でファイントラックが目指したのは、「細身で美しいシルエットなのに、驚くほど足が動く」という相反する機能の両立であり、その最適解が、高機能な「メカニカルストレッチ」生地の採用と、緻密な「立体パターン」との合わせ技です。
Q3. ビギナーの悩み:「今の夏山は暑くて、どんなパンツを穿いてもパンツの中が蒸れてしまいます…」
ここ最近、日本だけでなく世界中で異常な高温が続く夏。これまでは何とか我慢できていたけど、そろそろ限界。そんな人も多いのではないでしょうか。今や夏場の登山では歩いているだけでパンツが汗だくに。だからといってずっと濡れたままでいいわけはありません。そんなパンツ内の「汗・蒸れ」に対してはどんなパンツを選べばいいのか。蒸れそうなときにはどうやって対応すればいいのでしょうか。
A3. プロの回答:「これまで以上に『通気性』と『蒸れにくさ』に対策が重要になってきます。」

止まっていてもじりじりと汗をかくような季節では、やはり汗による水分をできる限り素早く蒸発させることに限ります。そうなると必要になってくるのは、より通気性が高い生地や構造にすることです。
「通気性が高い生地」と一言で言っても、ただ大きな穴(隙間)を空ければよいという分けではありません。確かに生地に穴がたくさん開いている(極端なのはメッシュ生地)ことによって、空気は通りやすくなりますが、穴をたくさんあければそれだけ生地強度は弱くなってしまいます。高品質な夏向け登山用パンツで重要なのは、高い通気性を実現しながらも、アウトドアパンツに必要な強度も保てるような生地を使うことです。
また一方で、パンツに「ベンチレーション(換気機能)」を付けるという方法でも蒸れによる不快感軽減にとっては非常に有効です。例えばファイントラックのパンツに搭載された「リンクベント」は太ももの側面に付いたジッパー開閉式のベンチレーション(換気口)で、これを開けることで、パンツ内の熱気を一気に排出できます。これがあるとないとで涼しさは段違いです。
その他、肌離れの良い凹凸のあるリップストップ生地を採用することで、汗ばむ場面でのサラサラした快適な肌触りと空気の通りやすさを提供できます。
このように、蒸れにくく涼しいトレッキングパンツを作るには、さまざまなアプローチによって強度とのバランスを保ちつつ、通気性を向上させる工夫が必要です。
Q4. ビギナーの悩み:「小雨や朝露、汗でパンツが濡れると不快だし重くなる。とにかく『速乾』のパンツを選べばいい?」
日中はカラッと晴れている一日だったとしても、登山では、例えば朝露に濡れた草むらの通過や、ちょっとした小川の渡渉、そして稜線に上がったとたんに急な小雨が降り出したなど、行動中まったく水と無縁であるということは少なく、濡れへのリスクはそこかしこに転がっているものです。ただそのたびにレインパンツをはくのは時間のロスですし、濡れを我慢すればそれはそれで不快。なるべく濡れにくく、乾きやすいパンツのために必要なのは何でしょうか。その重要なカギを握るのがパンツの「撥水性」を高めることだといいます。
A4. プロの回答:「ドライで快適な状態を保つには、生地が水をはじく『強力な撥水』が鍵です。」

乾きやすく快適なウェアには「速乾性(濡れてもすぐ乾く)」が重要だと一般的にいわれていますが、私たちはそのうえでさらに「そもそも生地が濡れにくい(撥水)」ことも同じくらい最も重要だと考えています。生地が水を弾けば、生地が保水しにくいため重くならず、冷えも防げます。結果的に、濡れても乾くスピードが圧倒的に早くなるのです。
一般的な撥水加工は洗濯20~30回程度で効果が落ちてしまいますが、ファイントラックは「100回洗濯しても80点以上の性能を維持する※」という、業界でも異例の厳しい基準を設けています。これにより、多少の雨ならレインウェアを出さずにそのまま行動でき、泥汚れも付きにくくなります。また、洗濯を繰り返しても機能が長持ちするため、パンツ自体の寿命も延びます。
※JIS L1092スプレー法
※一部アイテムは除く
Q5. ビギナーの悩み:「トレーニングパンツで歩いていたら、枝に引っかかってあっさり破けてしまった…」
せっかく軽くて動きやすく、爽やかで濡れにくいお気に入りのパンツだったのに、ちょっとした茂みで枝に引っかかったり、岩場で擦れたりして生地がすぐに破けてしまった、という経験をしたことがあるのは筆者だけではないでしょう。いくら機能が高くても、脆いパンツでは山には向きません。社員全員が山をやるファイントラックであるからこそ、表面的な機能性の高さだけではなく、厳しい山岳での使用に耐え、タフな使用にも長く使い続けられる耐久性の高さは欠かせないといいます。
A5. プロの回答:「切り裂き、突き刺し、引き裂き、摩耗と危険だらけの山道では、容易に傷つかないだけの強さが必要です。」

鋭い木の枝や鋭利な岩角、ザラザラとした岩肌、あるいは尖ったトレッキングポールなど、登山道の周囲は常に危険だらけ。どれだけ気をつけて歩いたとしても、デリケートな生地で作られたパンツでは無傷で帰ってくることはまず不可能です。
登山用のパンツは、そうしたさまざまなダメージに耐え得る強靭さが求められます。もちろんこれもただ強ければいいというわけではありません。当然「軽さと通気性とのバランス」も重要になってきます。例えばファイントラックのカミノパンツは、「紙ヤスリで1000回摩擦しても破れない」強度が強いナイロンと独自の生地組織を開発することで、一般的なポリエステルでは実現できない「より高い強度を実現しながら、軽さと速乾性を両立した」生地となっています。

ここまで登山用パンツに求められる基本的な機能を整理してきましたが、当然のことながらすべての機能を十分に満たしたような「究極の1本」というのは存在しません。それぞれの製品は、特定の季節や目的、アクティビティを想定してそれに即した機能にフォーカスしています。ユーザーはアウトドアショップにぎっしりと並んだパンツの棚から、それぞれの製品がどこにフォーカスしているのかを見極め、最適な一本を見つけ出さなければならないのですが、はっきり言ってビギナーには至難の業。しかし上で挙げたトレッキングパンツに必要な各機能を「いつ・どこで・何をする」かで優先順位付けしていけば、誰でもある程度理想の選択肢に絞り込んでいくことができるはずです。ここではそのステップを紹介します。
(以下のステップ1~4をクリックすると本文が表示されます。)
まず、どのようなパンツであれ、登山用として最低限クリアしていなければならない条件があります。
1. 最低限の耐久性はクリアしているか(綿パンツはご法度)

大前提として、それが登山などの過酷なフィールドでの使用を想定している必要があります。またジーパンやチノパンなどの綿素材は、汗や雨で濡れると乾かず、体温を奪い続け(低体温症のリスク)、濡れると重くなりますので、登山でのウェアとしてはNGです。必ずポリエステルやナイロンなどの「化繊」100%のものを選んでください。
2. 「撥水(はっすい)」機能がついているか

先述したように、不意の降雨や朝露、渡渉、泥、発汗などによってパンツは常に濡れのリスクにさらされています。行動中にドライでいることは、低体温症などから命を守るためにとても大切。撥水性のある生地であることは、季節やアクティビティに関わらずさまざまな影響によって生地が濡れることを防いで常にドライであることを底支えしてくれます。最低限、製品の機能として「耐久撥水(DWR)」が備わっているかどうか(もちろん高い方が望ましい)を確認しましょう。
3. 「足上げ」を邪魔しないか(ストレッチ性とパターン)

登山での下半身の可動性の高さは、こちらも季節やアクティビティに関わらず最も重要な要素です。可能な限り試着室で「深く屈伸」と「片足を高く上げる」などの動作をして、腰・膝などの関節部分の動きやすさと窮屈感がないかどうかをチェックしましょう。生地のストレッチ性だけでなく、膝や股関節の形に合わせて縫われた「立体裁断」がしっかりと効いているかどうかが重要です。
今の日本では、蒸し暑い夏と寒い冬を一本で完璧にカバーするのはもはや不可能といえます。「オールシーズン用」と書かれたパンツもありますが、アクティビティによってはやはり限界があります。そこで自分がメインで着用すると想定している季節・エリアの大まかな平均気温を念頭に、それぞれ以下の機能を重視するようにしましょう。
【夏山(高山を除く)や春の低山の場合・・・「通気性」と「肌離れ」を重視】

【秋・冬(寒い時期)の場合・・・「防風性」と「保温性(レイヤリングしやすさ)」を重視】

【春・秋山(あるいは夏の高山)の場合・・・暑さ、寒さどちらにも対応できる「バランス」を重視】

登山のスタイル・アクティビティの違いでも「歩くことがメイン」か「岩場や岩稜帯を積極的に登るか」によっても、最適なパンツの形状は変わります。
【一般登山・縦走(歩きメイン)】
【クライミング・岩場・沢登り(大きな動きメイン)】
【ファストハイクなどのハイテンポな登山】
昨今ではネット通販が便利ですが、ビギナーこそ店頭で試着し、実際に足を上げてサイズ感を確認してください。
ファイントラックでは2026年に新しいラインナップを例に、選び方を整理します。




ファイントラックの2026年販売ランナップを「おすすめの気温(縦軸)」と「アクティビティ(横軸)」ごとに整理すると、以下のようになります。
(画像クリックで拡大表示できます)
ここまでトレッキングパンツにおいて欠かせない機能と選び方について紹介してきました。これらはカタログスペックだけを見ればファイントラックでなくても、他社製品にも似たようなものがあるかもしれません。そこで最後に聞いてみたのは、「なぜファイントラックでなければならないのか?」そうして分かったのは、彼らの製品の真価はカタログの数値の裏側にある「モノづくりへの執念」ともいえるような堅固な開発哲学に裏付けられた、品質に対する執拗なまでのこだわりにありました。ここでは、その核心となる4つのこだわりを紐解きます。
多くのレインウェアやパンツの撥水性能は、JIS規格などの試験において「20回〜30回の洗濯で80点を維持する」程度が一般的です。しかし、ファイントラックは創業以来、「100回洗濯しても80点以上という、業界常識からかけ離れた厳しい性能を目標として生地開発を行っています。

なぜここまで撥水にこだわるのか。それは「撥水こそが最善の速乾」と考えているからです。生地が水を弾けば、繊維自体が保水しづらく、気化熱による体温低下(汗冷え)も防げます。 この性能を実現するために、国内でもトップクラスの技術を持つ加工場と協業し、耐久撥水にこだわった生地加工を施しています。100回洗っても撥水性能を保つということは、一つの製品寿命が圧倒的に長くなることを意味しており、これは「ユーザーの安全」と「ギアとしての長寿命」に対するファイントラックの誠意そのものなのです。

ストレッチパンツの多くは、「ポリウレタン(スパンデックス)」というゴムのような繊維を混紡することで伸縮性を出しています。しかし、ファイントラックはトレッキングパンツにおいて、基本的にポリウレタンを使用しません。 ポリウレタンには、水分を含みやすく乾きにくい、そして経年劣化(加水分解)により数年で生地がダルダルになるという、山岳ウェアとして致命的な弱点があるからです。
その代わりに採用しているのが「メカニカルストレッチ」です。 これは、糸に特殊な撚(よ)りをかけてコイル状(バネ状)に加工したり、性質の異なる2種類のポリマーを複合させた糸を使ったりすることで、糸そのものの構造でバネのような伸縮性を生み出す技術です。 特に「カミノパンツ」で採用されているナイロン素材でのストレッチ化は技術的に極めて困難でしたが、2年の歳月をかけて開発に成功しました。これにより、「岩場で擦っても破れない強靭なナイロン」でありながら「ストレスなく伸び縮みする」、そして「何年使ってもヘタらない」理想的なパンツが完成したのです。
ファイントラックは、商社から出来合いの生地を買ってきて縫製するだけのメーカーではありません。同じ生地で同じ用途のものを作れば、どのメーカーのモデルも似たようなものになってしまいます。私たちは道具を作る以上、「自分たちの考える最高の製品」を作れなければ意味がないと考えています。創業者の金山洋太郎氏自身が繊維のプロフェッショナルであった背景もあり、私たちは必要に応じて「糸一本」からオリジナルで開発することにこだわっています。

例えば、3シーズン用の「カミノパンツ」を開発する際、「(3シーズンに適した)涼しさのために薄くしたいが、強度が落ちる」という課題に対し、ポリエステルではなく高強度のナイロンを選択。繊維メーカーとタッグを組み、カミノパンツ専用の「ストレッチするナイロン生地」をゼロから作り上げました。 既存の生地に合わせるのではなく、「こういう機能が欲しい」という理想から逆算して素材そのものを創り出す。このプロセスがあるからこそ、他社には真似できない独創的な機能が生まれるのです。
また、ファイントラックが今シーズン新しく開発した「シルファパンツ」は、前モデル(クロノパンツ)の圧倒的な風通しの良さ、動きやすさをキープしながら、糸自体をポリエステルからナイロンに変えて生地強度も落とさずにいくことができました。

ファイントラックの製品開発における最終関門、それは数値データではなく「社員によるフィールドテスト」です。 開発担当者だけでなく、営業や広報を含む社員全員が登山、沢登り、BCスキー、トレイルランニングなどを楽しむ「本気の遊び手」です。
試作品ができると、社員が週末の山行でテストを行い、「数値上は透湿性が高いはずなのに、実際は蒸れる」「撥水が思ったより弱い」といった辛辣なフィードバックが容赦なく寄せられます。 例えば、「スカイトレイルパンツ」のリニューアルでは、通勤ランやトレイルランで使い倒したスタッフの意見をもとに、ポケットの構造やミリ単位のシルエット調整が行われました。「使いたいですか? → 使いたくない」と正直に書かれることも珍しくない、厳しいフィードバックを乗り越え、自分たちが本当にフィールドで欲しいと思えるものだけを世に出す。この徹底した現場主義が、ファイントラック製品の圧倒的な実用性を支えています。

トレッキングパンツは単なる衣類ではなく、過酷な自然環境から身を守り、安全で快適な歩行をサポートする重要な「ギア」。ファイントラックのモノづくりへの執念から見えてきたのは、決して妥協を許さない機能性への探求心と、ユーザーへの誠意でした。「動きやすさ」「丈夫さ」「濡れへの強さ」が高い次元で融合したウェアは、登山の疲労感や不快感を劇的に軽減してくれます。もし最初の一本に迷ったら、まずは万能な「カミノパンツ」に足を通してみてください。深く屈伸をした瞬間に感じるその違いが、あなたをより快適な山の世界へ導いてくれるはずです。
後編では、ファイントラックば満を持して今シーズン新たにリリースした夏の登山向けトレッキングパンツ「シルファパンツ」と「ミヤマパンツ」について、定番パンツとの違いを含めながら徹底レビューしていきたいと思います。
(文・写真:Outdoor Gearzine 久冨保史 ※一部画像はfinetrack提供)
いかがでしたでしょうか? 久富さんによるシルファパンツとミヤマパンツの徹底レビューは、近日中に公開予定ですので、どうぞお楽しみに!(―fun to track編集部)

日本に限らず世界中のアウトドア専門家・ライター、あるいは日頃からアウトドアにどっぷり浸かった愛好家たちが、彼らがこよなく愛するアウトドアについてのモノ・コトの紹介やレビュー、その他アウトドア・アクティビティがもっと楽しくなるさまざまな情報を発信するWebメディア。

パンツの違いが、アクティビティの快適性に大きな影響を与えます。
ファイントラックは外見から分かりにくいパンツの機能性の違いと、その重要性に早くから着目し、膨大なフィールド経験を注ぎ込んでパンツを開発しています。