ドライレイヤリング ドライを重ねる 5レイヤリング

「旅」の要素を備えた、スキーでの長期縦走が好きだ。
残雪期を使ってスピーディーに行くロングツアーも楽しいが、あえて厳冬期の大雪山系、旭岳ロープウェイを起点として、旭岳、トムラウシをつなぎトムラウシ温泉につなぐルートに5日プラス予備日3日のプランでトライしてみた。
正直、スキーは滑走手段としてはたいして役に立たないかもしれない。「修行」の要素の強い山行になることも目に見えている。でも、厳冬期ならではの面白い世界がきっと見れるに違いない。

【山行日】2月11日~16日

■2月11日(土)
計画は出だしからつまづいた。
2/10日の夜東京に移動する夜行バスが、大雪で遅れ一本後の飛行機に変更を余儀なくされたのだ。おかげで、旭岳ロープウェイのスタートは既に15時。これでは石室までしか進めない。

■2月12日(日)
この日は旭岳を越えて、稜線を東に辿り、白雲岳を越え、白雲岳の避難小屋までのルート。
まずは旭岳を越えなくてはならないが、朝から風が強い。時々たたきつけるような突風が来て、何度かひっくり返された。雪面はカチカチで、スキーアイゼンが途中で曲がり、アイゼンでスキーを引きずって歩くことにした。正直、登っている時間よりも耐風姿勢を取っている時間のほうが長いくらいだ。山頂手前の肩の時点で5時間以上経過。これはまずいな・・・。

旭岳の山頂部分は残念ながらあきらめようと、2074mコルにダイレクトに下る。
ここから新井岳から北海岳まで、風雪にモロにさらされるルートだ。風の当たる左半身は見る見る雪が貼りつき、氷の彫像のようになっていく。

迫る夕闇とガスのプレッシャーの中、白雲岳の北のコルを越える難しいルートファインディングを慎重にこなし、避難小屋にたどりついた時は17時直前。ギリギリだった。

今日の行程はせいぜい6キロ程度だった。この風雪下では、思った以上に行程がはかどらないということか。翌日以降の行程を改めて見直してみると、ヒサゴ沼からトムラウシ温泉ダイレクトは少し無理があるかもしれない。すると行程は6日。17、18日は既に荒天が想定されていたので、少々の悪天は押して進まなくてはならないようだ。

■2月13日(月)
白雲岳の避難小屋から、高嶺ヶ原を越え、忠別岳の避難小屋に至る長丁場。天気が良ければ天国、まっ平らで吹きっさらしの区間を越えるので、荒天になれば核心ともいえる区間だ。

朝のうちはガスっていたが、歩きだして間もなく晴れた。ラッキー、天国だ!

この山行中初めて、のんびりと休憩ができた。しかし、晴れは束の間。ガスが出てきたと思ったらあっという間に真っ白の風雪模様に。忠別沼から忠別岳に向けて特徴の乏しい地形の中を慎重に進む。

忠別岳の下りで、ルートを誤り、西側に落ちかけるが違和感に気付いて危うくリカバリー。最後は1745mピーク北東のコルから、コンパス直進で忠別岳の避難小屋を探り当てた。

■2月14日(火)
忠別岳の避難小屋からヒサゴ沼の避難小屋まで。

朝から、ガスの向こうに太陽が見える、幻想的な景色の中を行く。天候は軽い風雪程度だが、視界は相変わらずない。このくらいの、風雪とガスはこの時期デフォルトくらいに思ったおいたほうがいいのだろう。

五色岳を越え、化雲岳に向かう途中で、つかの間の晴れ間が訪れた。トムラウシらしき山塊が一瞬見えたが、実に複雑な形をしていて、ガスったら手ごわそうだ。幸い晴れ間は山頂まで続き、素晴らしい景色を見せてくれた。

化雲岳からヒサゴ沼のホワイトアウトの中の2キロ弱のコンパス直進をばっちり当て、昼前にはヒサゴ沼に到着。

冬季入口がカチカチに凍りついてびくともせず、一瞬焦るが、入り口を何とか押し開けて入ることができた。まだ早いが、こんな日もいいだろう。半日のんびりの休養日とすることができた。

■2月15日(水)
当初、この日にトムラウシ温泉に抜ける予定だったが、かなりの長丁場。トムラウシ山を越えたトムラウシ公園といわれるあたりで風を避けられそうな地形を選んで、一泊して刻むことにする。

晴れた中にガスが立ち込め、拡散した日光が風景全体に満ちた荘厳な雰囲気の中、歩きだす。

トムラウシ山手前の地形はかなり複雑だが、夏道にこだわらず辿りやすい地形を利用すれば、これだけ視界があれば楽勝だ。しかし、北沼に到着した時点でいつもの風雪になった。トムラウシ山の裾が作る傾斜変換を辿って南西側の夏道分岐まで行き、荷物を置いて山頂ピストンすることにする。

ところが、これが裏目に。

山頂に着いたところで天候悪化して視界数メートルの吹雪になってしまった。お守りのGPSを使って何とか探り当てたが、危うく荷物にたどり着けないところであった。
真っ白な中、コンパスとわずかに見える斜面の方向を頼りに進み、目標としていた標高1800mの小さな沢状地形にたどり着けた。北風をブロックしてくれるともくろんだが、あいにくの強い西風。さらに半雪洞にしようと思ったがそこまで雪もなく1/5雪洞くらいにしかならない。風とどんどん吹きだまる雪に圧迫されながらのしんどいテント泊となった。

■2月16日(木)
この日の午後から、天候が大荒れに向かい、明後日くらいまで続くことが分かっていた。となれば、今日の午前中には何としてもトムラウシ温泉に降りるようにしなくてはならない。

朝から、かなり風が強い。沢状地形を出て尾根に上がるとカリカリの雪に引きずり倒されそうな風。転倒したら、風でそのまま滑って行ってしまいそうだ。前トム平のコルまでのわずかな距離だが、耐風姿勢を取りながらのカニ歩きでかなり時間を食ってしまう。これは厳しいぞ。

幸い、風裏に入った途端ぐっと風は収まり、カムイサンケナイ川を越えて登り返した尾根上は、すっかり穏やかな樹林帯の尾根になっていた。スキーが滑走道具であることをすっかり忘れてしまっていたが、ここで、この山行で初めてシールを外すことができた。やはり滑るのは楽しく、楽だ。
下部の複雑な地形と悪雪はなかなか手ごわいが、これまでの風雪とガスの中を行くことに比べれば天国のようなもの。

正午にはトムラウシ温泉に無事ゴール!

 

ビブタイプのパンツは、腰回りのストレスがなく温かい。厳冬期に荷物の多い今回のようなツアーには最適のアイテムだ。
マルチデイのツアーにビブを使う際の最大のわずらわしいこと、「用足し」も「レイルオン・リリーフシステム」を備えているので履きっぱなしで問題なし!これはありがたい。

エバーブレス®シビロ ビブの商品情報へ