ドライレイヤリング ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 三宅 毅  写真:三宅・山原

CATEGORIES
スタッフの遊び記録
ACTIVITIES

パドラーの間で全国的に著名な南紀の北山川。景勝地でもある「瀞峡」の深い渓谷は、下流から順に「下瀞(瀞八丁)」「上瀞」と呼ばれているが、最上部の「奥瀞」は、およそ50年前の小森ダムの建設で湖水に沈んで以来、長い眠りに就いたままだ。その「奥瀞」セクションが、およそ20年ぶりというダム工事でいま、一時的に蘇っている。一生に二度と訪れないかもしれないこの機会に、知られざる「奥瀞」に挑み、その魅力を堪能した。
【日程】2017年2月26日

北山川は熊野川の支流、下流で十津川と合流し、和歌山県新宮市と三重県紀宝町の境で太平洋に注ぐ紀伊半島屈指の大河である。流れは遥か上流の大台ケ原より発し、紀伊半島を縦断するように南進、次第に太くなって、景勝地「瀞峡」の深い渓谷を力強く貫いている。その「瀞峡」は、景勝地として有名な下部にある「下瀞(瀞八丁)」と、上部にあり、筏下りやコマーシャルラフティング、ホワイトウォーターカヤックの定番コースの「上瀞」が知られている。

「上瀞」のパドリングシーズンは、筏下りのためのダム放流が行われるゴールデンウイークから9月末となるのだが、今は例外的に約20年ぶりに行われているダム工事のため、3月中旬まで、常に豊富な水量があって、この冬は季節外れのホワイトウォーターを何度も堪能させて貰っている。その「上瀞」に通ううち、上流の七色ダムから小森ダムの間の「奥瀞」セクションに次第に注目を寄せることとなった。小森ダムの水が抜かれ、湖水に沈んでいたかつての瀬が蘇っている名実ともに「幻」のセクション。この機会を逃すと、もう機会は一生訪れないかもしれない。

新しい川を求め全国を駆け回る自他ともに認めるダウンリバー好きの私である。実行の機会を伺っていたが、1月の雪や集まらないメンバーになかなかチャンスが得られずにいたが、ここでようやく実現の運びとなった。週半ばにまとまった雨が降り、若干の水量アップも期待できる。天気は快晴でコンディションは上々だ。道の駅「おくとろ」に集合した我々は、最初にテイクアウト地点の小森ダム直前のスロープに空荷の車をデポし、車一台に3人分の道具を積んで上流へ向かい、水位と川の状態を見ながら、プットインを北山村七色の集落前の堰堤に定めた。

堰堤の足場の良いコンクリートから入水。カヤックでもボトムを擦りながらパドルで川底を突いて進まねばならない浅い瀬から始まる。それを何とかやり過ごすと、やがて水位が十分に出てくる。そこからはクラス1~2の浅瀬と、引き込まれそうな深さの緑に澄んだ瀞場が続く。

上流と下流のダムの間に挟まれた流れは、爪牙を抜かれてしまったも同然であるが、岩場に残されたポットホールなどの激しい侵食が、本来のこの川の流れのパワーをなおも誇示している。

北山村竹原の辺りで、道路からもよく見えていたクラス3の瀬が現れる。格好のプレイスポットと見られていたが、実は強烈なストッパーホール。さらに悪いことには、直下の正面にアンダーカットロック、左岸側にシーブが並び、流れに押されそちらへ行ってしまうと、命に関わる事故が起こり得る危険な場所となっている。その下には、浅いが形が良く、プレイ可能なウェーブもあるが、そこの直下にも左岸側にログやアンダーカットロックがある。この瀬は思いのほか落差があってコース最大の瀬であった。

北山村から熊野市へ向かう分岐となる新沼大橋をくぐると、いよいよ今回の目的、普段はダムの湖水に沈んでいる幻の区間に入る。

全国の川を下った目にも中々見られないような巨岩、それが幾つも列なって聳えている。湖水に沈んで隠されてさえいなければ、奇岩絶景の観光地として十分通用するだろう。

役場などの村の中枢が集まる北山村大沼の集落沿いの河岸は、厚さ15cm程の地層がミルフィーユ状に積み重なり、30度程の傾きで露出している崖である。この特異な景色によって、ここが瀞峡に連なる場所でることを再認識させてくれる。診療所が建っている大きな中洲を左の本流に乗って通過する。

道の駅「おくとろ」が見えてくると、テイクアウトまであと僅か。普段は大きな湖となっているが、今日は広い遠浅の穏やかな水面である。

小森ダムの直前まで瀬は続くが、これ以上進むと、上陸がままならなくなるので未練を残しながらここで終了。ここまで長い瀞場も幾つかあったが、風の影響をほとんど受けなかったこと、プレミアムな絶景が目を楽しませてくれたお陰で、さして苦にすることなく距離を消化できた。

次のダム工事までまた長い間湖水に没するであろう、おそらく残りの人生で下る事のない「奥瀞」セクション。間もなく幻になる絶景を記憶にしっかりと刻む思い出深いダウンリバーとなった。コース自体は、中間地点にあるクラス3以外は穏やかで危険度も少なく、景色を楽しみながらのんびりと下ることができる素晴らしいコースである。

【当日のデータ】
水量:七色ダム放流2-3t
プットイン:北山村七色集落内堰堤
テイクアウト:北山村下尾井地内スロープ
距離:9.3km
所用時間:3時間
使用艇:インフレータブルSUP、リバーカヤック

 

撥水のアクティブスキン®フラッドラッシュ®重ね着だけではなく、間に吸汗性・調湿性に優れるメリノスピン®サーモをその間にレイヤリングすることで、完全に密封されたパドルスポーツ用のフルドライスーツで不快さと体温低下の原因となる汗の濡れ感を大幅に軽減できます。気温・水温に応じてメリノスピン®ライトをチョイスする場合もあります。

メリノスピン®サーモの商品情報へ