最強の5レイヤリングとは

三方崩山はの2058mの白山の東の前衛峰の一つ。上級者向けのバックカントリールートとして知る人ぞ知るといった山だ。そしてさらに知る人は少ないが、実は魅力的な雪稜を何本も持つ山でもある。
かつて、岐阜登攀倶楽部や名古屋ACCなどの山岳会によって、積極的にトライされていた時期もあるようだが、現在では、ほぼ忘れ去られた壁になっているといっていいだろう。
今回は、アプローチと下山にスキーを使うClimb&Glideスタイルで、三方崩山の南東に伸びる大ノマ谷の右岸の雪稜のクライミングにトライした。

■アクティビティ日:2019年3月2日~3日

どうアプローチするかがまず問題。雪崩の巣大ノマ谷をのんびり登るのはこの時期リスクが高いので、東尾根から北東に伸びる支尾根を登って上からアプローチすることにした。これなら、アプローチ中に大ノマ谷の偵察も可能だ。

国道が弓ヶ洞谷を渡るところからスタート。この時期にしては非常に雪が少なく、薮漕ぎからのスタートとなった。

目指す尾根は急峻だが、北側に回り込めば少し斜度は緩む。そのため弓ヶ洞谷をしばらく登り北斜面から取り付いた。春山のような景色に引っ張られて忘れてしまいそうだが、考えてみればまだ3月頭。斜面はカチカチでところどころツボ足を交えつつ慎重に登る。

1368mの大きなピークを巻くように登ると、地形は一気に緩やかになった。ここからは快適な尾根のシール登高だ。この付近に滞在して周辺を滑っても楽しそうないい森だ。

前方に弓ケ洞谷左股上部の壁を眺めながらのシール登高。登ったらかなり面白そうな雪稜が2本ほど見える。

東尾根とのジャンクションの直前は雪が悪くてアイゼンに変え、東尾根に合流した。

東尾根上1956m地点を整地して、ベースとすることにした。素晴らしい展望ポイントだ。
明日の滑降斜面となる北斜面の積雪の状態もチェックしておいた。

 

ここから見ると大ノマ谷には4本の顕著な岩稜が認められた。かつてトレースされた時代に、第1~第4岩稜と名付けられたものだろう。
山頂付近にダイレクトに突き上げるのが第1か。
第2はスケールも登攀難易度もこの中では一番のように見える。
第3岩稜は途中で2つに枝分かれし、どちらも美しい雪のリッジラインを見せている。登られてはいるようだが、記録も見た事がなく出たとこ勝負で面白そう、ということで今回はその第三岩稜の右支稜(はっきり特定できないので仮称)をターゲットにすることにした。

翌日、スキーなどの余分な道具をテン場に残し、薄明とともに雪壁を下降してアプローチ開始。

大ノマ谷の右岸の雪稜群が眼前に迫る。スケールもなかなかのものだ。

岩稜末端より登攀開始。

まずは弱点になりそうな堅雪の詰まったルンゼを登る。そこまでは伸ばせるだろうと見ていたしっかりとした立ち木まで、60mロープでギリギリだった。これは、見た目よりもスケールがあるぞ。

2ピッチ目。頭上に覆いかぶさるキノコ雪群の横に、ちょうど雪崩の走路がいい弱点になっていたので、パートナーがそこを突破していく。

3、4ピッチ目はキノコ雪を乗り越えながら、グイグイ高度を上げていく。この辺りからブッシュが乏しくなり、適当なビレイ点を求めてコンテを少し交えた。

5ピッチ目はブッシュも何もない雪壁からリッジ。そんな時に限って、スノーバーの受け渡しを忘れて、ノーピンで一気に登る。キノコ雪の上でヒップアックスでビレイ。

その先に見えるのは、偵察時にも見えていたきれいな吊り尾根状のナイフリッジのようだ。その先のリッジもおそらく何も取れそうになく、ビレイするにも悪い。
パートナーはリッジを少し登った後、左の雪壁に活路を見出した。

 

7ピッチ目の雪壁を登るとだいぶ傾斜が緩み、8ピッチ目はコンテで100mほど進んで山頂から延びる南尾根に合流することができた。

南尾根に出てしまえば容易だろうと思っていたが、30㎝くらいしか厚さのない極薄ナイフリッジがあったりしてこれが意外と悪い。結局山頂までロープは外せず。

山頂を越えると、地形図の登山道マークのある東尾根を下るが、ナイフリッジなどもあり、雪も降ってきて視界も悪く気が抜けない。

テン場に戻ってスキーにチェンジ。弓ヶ洞谷上部はかなりの急斜面。不安定な雪はほとんど落ちているようだが、ところどころ残っていたり、上の雪が落ちたところは融解再凍結したカチカチなのに妙に引っかかる面が出ていたりして、かなり厄介な雪だ。落ちたら止まらなそうなので安全第一で慎重に高度を下げる。

ようやく傾斜も緩みテレマークを楽しめるように。
しかし、この後もデブリーランドと谷割れに手こずって時間がかかり、ヘッデンBC&薮漕ぎでの下山となった。

 

保温着としても、暑い時の行動着としても使えるフロウラップパンツを活用。登りはボトムはL1+L2 +フロウラップパンツで行動できて軽快。登攀中はアウターパンツを上から着込んで動きを妨げない保温着として活躍した。
2日目はひどい湿雪であらゆるものが濡れたが、ダブルシェル効果で内側はドライに保ってくれていた。

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