ゴールデンウィーク休暇を活用して、イギリスに行こう。そんな話になったのは3月末か4月頭のことだっただろうか。
会社の休み(11連休!)の間にイギリスならではの自然と街並みの両方を味わえるプランを検討した結果、目指す先はロンドンと湖水地方になった。氷河時代の痕跡が色濃く残り、渓谷沿いに大小無数の湖が点在する風光明媚な地域(by Wikipedia)という湖水地方でトレッキングを楽しみ、フライトの前後にロンドンに滞在して観光する目論見だ。さて、まずは航空券の予約から!
今回の旅は若干トツゼンに始まった。そうなると難しいのが航空券探しだ。ただでさえ円安の中、渡航1か月前に探した航空券は条件が悪く、価格の高さには驚かされた。
10年前に直行便でフランスへ渡航した際の約5倍じゃないか。
とはいえ、短期旅行なので格安航空券を求めてトランジット先で無駄に長い時間を過ごすのも本意ではない。すでに1か月前なのであまり悠長に選んでもいられない。ここはもう腹を決めて、現地到着までの時間がなるべく短い航空券の中で、しかし高すぎないものを。
1時間ほどの検討を経て、関西国際空港からドバイを経由してロンドン・ヒースロー空港へ、トランジットの時間が2時間半で済む便を選んだ。
サービスが良いと評判のエミレーツ航空。予約完了と同時にウキウキしてきた
さて、今回の旅の目的はアウトドアアクティビティだけではない。初めてのイギリス旅行なので観光も楽しみたい。しかし土地勘が全くない。そこで大まかなプランは、”奥義・人任せ”。もとい、現地で合流するイングランド出身の友人のアドバイスに従うことにした。
そうしてできたプランが以下。
・4/25(金)23時台発の便で出国
・4/26(土)12時台着の便でロンドンへ。観光を兼ねてロンドンで2泊。
・4/28(月)レンタカーで湖水地方(Lake District)へ移動。麓に4泊滞在し、その間、周辺の山をハイキング。
・5/2(金)レンタカーでロンドンへ。その後またロンドンに2泊。
・5/4(日)14時台発の便でイギリスを出国・5/5(月)17時台着の便で帰国
スーツケースに詰め込んだのは、登山のためのウエア・ザック・トレランシューズ、普段着、TPOを選ばないフォーマルシャツ&靴など。金曜日、仕事を終えて、自宅で出国前最後のシャワーを浴びてから空港へ向かった。
今回使ったスーツケースは98L。シングルキャスターでスムーズな動きと音の静かさが特長だ。行きはスペースを半分くらい余らせてある
なお、今回の遊び記録では旅全体の記録を綴っているので、アウトドアに関する情報のみを知りたい方は、ぜひ以下の目次より3~6の項目に飛んでいただきたい。
目次 |
滞在1日目、4月26日(土)
飛行機のドバイ着が予定より1時間遅れてしまった。トランジットの猶予が1時間半となり焦ったが、さすが国際的に評判の高いハブ空港。ターミナル間の移動の案内は分かりやすいし、手荷物検査は非常にスムーズ。余裕を持って搭乗口に到着できた。エミレーツ航空にして良かった。
ロンドンへは予定通りの時間に到着。
現地合流の友人は仕事の都合で現在はドイツ在住。私が到着する2時間ほど前のフライトでヒースロー空港に到着していた。
今回はイギリス滞在中のネット接続のためにeSIMを契約したところ、とても便利だし比較的安価だった。飛行機を降りてすぐに連絡が取り合えたので友人との合流も楽勝だった。
そこから地下鉄(Underground)で市街地に移動。今日から2泊するロンドンでの滞在先はヒースロー空港から地下鉄で35分、アールズ・コート駅より徒歩3分ほどの立地にあるマンションタイプのホテル。ピカデリーサーカスなど主要な繁華街へも20分程度で行ける、便利な立地だ。
駅を出るとさっそく石造りの街並みと、赤い2階建てのバスお出迎え。
なんだかロンドンに着た実感が湧いてきたぞ。
ホテルで受付を済ませ、レトロなエレベーター(ドアが手動のタイプ!)で部屋に上がって荷物を置き、とりあえずキッチンでビールを飲んでほっと一息つく。
時刻は15時。Googleマップを見ながら2時間程度で観光できそうな場所を探し、ウエストミンスター寺院、ビッグベン、バッキンガム宮殿を見て歩くことにした。
国会議事堂とビッグベン
ウエストミンスター寺院
はじめてのロンドンなので「こんなものなのか」と思っていたものの、どうも街中にフェンスがやたらと多い。よく見るといたるところに“London Marathon”の文字が。
そこで気づいたのだが、なんと明日がロンドンマラソンの開催日だったらしい。
ゴール地点にあたるバッキンガム宮殿周辺は特に迷路のようにフェンスが張り巡らされていて、なかなか宮殿のゲートにたどり着けなかった。
バッキンガム宮殿前の広場
滞在2日目、4月27日(日)
時差ボケはほとんど出なかったが、それでも少し早く目が覚めた。
キッチンで紅茶を入れながら窓を眺めると、朝5時には十分明るい。夜も21時過ぎまで明るいため、1日を長く使え、旅行者としては得をした気分になる。
ベランダから眺める早朝のロンドン
朝食のベーコンと卵を焼きながら決めたこの日の行程はだいたいこんな感じ。
・コヴェントガーデン散策
・ナショナルギャラリーで絵画鑑賞
・ピカデリーサーカス周辺散策
・聖ポール大聖堂見学
・サッカー観賞
ナショナルギャラリーを後にしたのが13時ごろ。すでに街中にはロンドンマラソンをゴールした人たちがちらほら。
歓声のする方へ行ってみると、ちょうどテムズ川沿いがマラソンのコースになっており、出走者たちと応援者たちでにぎわっていた。
さて、今回イギリスに行って非常によいと感じたことのうちの1つがパブ文化である。
1667年再建(前身のパブは1538年からあったものの、ロンドン大火で焼失)というロンドンの老舗パブ、チェシャ―・チーズ
パブは昼間から空いていて、あらゆるお酒と軽食を提供している。この軽食というのがカナメ。量がちょうどよく、昼も夜も、レストランより安価にお腹を満たすことができるのだ。この日もパブで簡単にランチを済ませた。ちなみに私はイギリス滞在中、パブで「これだ」という推しビールに出会えず、その代わりにサイダー(アップルシードル)にハマった。
今回行ったパブの中では定番扱いだったサイダー、アスポール
聖ポール大聖堂を見学したあとは、夕食の買い出しを済ませてホテルに戻り、着替えてから近くのパブへ。
パブによっては大型テレビを設置し、スポーツ観戦ができるお店もある。この日はサッカーFAカップの準決勝、ノッティンガムフォレスト対マンチェスターシティ戦。ロンドンの中心街から電車で40分ほどの立地にあるウェンブリースタジアムが会場だったこともあってか、ロンドン市内は朝から、両チームのユニフォームを着て街頭でお酒を飲むサポーターたちがあふれていた。
いつもはそこまで成績の良くないノッティンガムフォレストだが、今季はプレミアリーグのダークホースと言われるほどの好成績(2025年4月時点)。 そんなチームの試合が行われる日にロンドンにいることに私もやや興奮気味で、日本から持参したチームユニフォームを着て、パブのテレビで観戦しようという魂胆だ。
友人には「パブでチームユニフォームを着ていると、相手を劣勢に追い込んだ際にマンCファンに絡まれるかもしれず、危ない」と言われたが、そんな忠告もむなしく、ノッティンガムフォレストは開始2分であっさり敵陣にゴールを許してしまい、その後も主導権を奪取することなく2-0で敗退。パブの中でひとり赤いユニフォームを着た私は絡まれるどころかむしろ同情の視線を浴びることに。
監督会見も待たず、ややぬるくなった3杯目の1パイントサイダーを飲み干し、失意のうちにホテルへ戻った。
滞在3日目、4月28日(月)
朝食を済ませてホテルをチェックアウトし、地下鉄でロンドン・ヒースロー空港へ。ここからレンタカーを借りて北へ440km、イングランド北部は湖水地方のアンブルサイドという街を目指す。
途中何度か休憩をはさみ、6時間程度で滞在先へ着いた。
昼食を摂ったレストラン。ここもパブカテゴリーに入るらしい。ぜんぶパブやん
これから4泊するこちらの滞在先は、マンションの空き室をそのまま民泊で貸し出しているタイプ。現地にオーナーやスタッフはおらず、玄関前に設置されたキーボックスに、あらかじめ聞いておいた暗証番号を入力して鍵を取り出す。
時刻は17時。この時期のイングランドは日没時間が21時前なのでまだまだ明るい。
マンションのベランダから村を見下ろす
湖と山に囲まれた地域なので、散策には困らない。
マンションの裏から少し遠回りをして遊歩道を歩き、山道を通って街に買い出しに行くことにした。
もともとパブが多いイングランドだが、昔ながらの避暑地であるこのエリアはインという宿泊所も多く残っている。1階はパブ、その上がシンプルな客室、というタイプの宿泊所なので、どこもかしこもパブだらけ。買い出しの合間にも2軒のパブに立ち寄り、それぞれお酒のラインナップと雰囲気を偵察した。
滞在4日目、4月29日(火)
ロンドンの本屋さんで入手しておいた地図をもとに、前夜のうちにハイキングルートを決めた。イングランド最高峰のスカーフェル・パイクもここ湖水地方にあるのだが、今回はそこへは行かず、滞在先からの距離と、現地の人による景観の評判をもとにルートを決めた。
滞在先のアンブルサイドから北に伸びる尾根を歩き、8つのピークを越えて17kmほどハイクする。
一番標高が高い地点がフェアフィールド(Fairfield)という873mの山。そこからぐるりとUの字を描いて別の尾根を折り返す。歩くルートの軌跡が馬の蹄の形と同じだから、そのコースのことをフェアフィールド・ホースシューというらしい。
ところで、イングランドは最高峰のスカーフェルパイクでも標高978mと六甲山程度の低山だ。そのためかイングランドの人は山のことを「Mountain」ではなく、「Fell」(山や丘といった意味)と呼ぶらしい。
それでも800-900m前後の山々が広がる湖水地方の自然はなかなか雄大で、急峻な箇所が少ないその山容は、トレランすると気持ちよさそうだと思った。
帰国後に調べてみると、イギリスではフェルランニング(Fell Running)が盛んで、1040年代からレースが行われていたことが分かった。それが現在のトレイルランニングの起源だと言われているようだ。
さて、街のはずれから牧草地帯を歩き、トレイルへ向かう。
この辺りの山では多くの場所で羊が放牧されている。以前ピレネーに行った際は羊飼いの姿も見れたのだが、今回は羊飼いも羊追い犬もいない。羊一頭ずつにチップを付けていて位置情報が分かることと、イングランドには熊も狼もいないため、羊を長期間山で自由に過ごさせる牧場も多いのだとか。
そのかわり、トレイルにはところどころ、羊が逃げ出さないようにするためのゲートがある。
写真は2日後に行ったヘルヴェリンのトレイルにあったゲート
しばらく歩くとHigh Sweden Bridgeという橋が出てくる。これまでは遊歩道のような道だったが、ここから本格的なトレイルに入る。
トレイルには石塀が張り巡らされており、これはおそらく山を牧草地として開墾した頃に、所有の境界線を示したり羊を囲うために積み上げられたのではないかと思う。
最初のピークLow Pike(508m)とその次のHigh Pike(656m)の間は湿地帯を歩く区間があるのだが、そこには「Warning Deep Bog(深い沼に注意)」という看板がある。そして警告通り、思いがけず深いぬかるみに足を取られたりもする。
ぬかるみにハマり靴をずぶぬれにしながらHigh Pikeに到着したあとは、傾斜がなだらかになり、高原のような様相となる。
するとそこに珍客が現れた。
羊だ。
羊たちはもともとここで放牧されているのだから、珍客はむしろ私たち人間のほうなのだろう。こちらに気づいてからは様子を窺うように立ち止まったが、私が近づこうとすると一斉に逃げて行った。
この後もたくさんの羊とすれ違い、その光景の珍しさに私のカメラとスマホは羊の写真に占領されることになった。
天気が良く、強い日差しの下を歩く。先ほど湿地帯でずぶぬれになった靴はすぐに乾いた。
無名ピーク(792m)、Hart Crag(822m)を過ぎると、本日の最高峰フェアフィールド(873m)まではほぼ水平移動となる。水平すぎて悪天時などは迷い込みが多いのだろうか、一体にケルンが並んでいた。
しかし今日は視界がよくどこまでも山並みが見える。800m前後の低山と言えど、長大な石の塀以外は人工物がないその景色は、なかなかのスケールを感じる。
山頂周辺は風が強く、この旅の中で唯一レインウエアを羽織った。これで曇天だったり雨だったりしたら、私たちがイメージするイングランドらしい風景なのだろうが、渡英してからこっち、毎日晴天だ。幸運と言えば幸運なのだが、この時以外はとにかく暑かった。
そこからはライダルという街を目指してなだらかな尾根を下山。
Great Rigg(766m)、Rydal Fell(615m)、無名ピーク(621m)※、Heron Pike(612m)と下り基調でピークを越えてNab Scarを過ぎると最後は街に向かって少し急勾配となる。
※私の買った地図に名前の記載がないだけかもしれない。
舗装路に出てライダルの街を通過し、川沿いの遊歩道を使って1kmほどでアンブルサイドの街に戻ってきた。
街についたらまずはパブに飛び込んでサイダーをオーダー。
なだらかなアップダウンを7時間程度歩いただけにも関わらず、直射日光に照らされ続けて身体が意外と疲れていた。ほんのり甘いサイダーが体にしみわたり、歩き疲れた体を癒してくれた。
滞在5日目、4月30日(水)
友人が夕方から人と会う約束があるということで、今日はのんびり過ごすことにする。
湖や川のそばにある遊歩道を7.5kmほど歩いて、アンブルサイドの隣町、グラスミア(Grasmere)まで遊びに行ってみた。
ライダル湖にて。水はまだ冷たいのだが、泳いでいる人も多い
遊歩道沿いの誰かの家の庭には、豚もいた
グラスミア到着。アンブルサイドより少し小さめの静かな街っぽい
グラスミアは、詩人ワーズワースが住んでいた街(というより村?)。中心部に建つ教会にはワーズワースと家族の墓があり、その教会と1854年に創業されたジンジャーブレッド店が観光名所になっているらしい。
ワーズワースの墓
例のごとく適当なパブを見つけてサイダーと軽食で腹ごしらえをしてから、街の小さな書店へ立ち寄った。湖水地方自体が山々を多く抱える地域であり、ここグラスミアを拠点にハイキングするひとも多いためか、店内には山の地図や自然に関する本がたくさん並んでいた。
その中でもひときわ存在感を放っていたのが「Wainwright」「Wainwrights」という文字だ。
友人に聞くと、かつて湖水地方の山々に魅了され、その魅力を広めるために手書き文字と手描き地図やルート図、スケッチを含むガイドブックを作ったアルフレッド・ウェインライトというオジサンがいたらしい。そのガイドブックに登場する(というか、湖水地方の山々を網羅した)214の山がWainwrigthsとして知られ、それらの完登をめざす登山者も多いのだとか。
地域や国の登山文化を象徴する山リストを作り、それが登山者の目標になる。イングランドの登山者たちにとって、ウェインライトは日本人にとっての深田久弥みたいな存在なのかも?
彼の著作『A Pictorial Guide to the Lakeland Fells』を手に取ると、ペン画のスケッチも手描きの文字も驚くほど精緻で、彼の溢れ出す情熱がひしひしと伝わってくる。気に入った。昨日歩いたフェアフィールドについても紹介されている第1巻、The Eastern Fellsを購入し、バスでアンブルサイドへ戻ることにした。
夕方はベランダでビールを飲みながら本を眺める
滞在6日目、5月1日(木)
昨日買った『A Pictorial Guide to the Lakeland Fells – The Eastern Fells 』にも掲載されている山、ヘルヴェリン(Helvellyn)へ行くことにした。標高こそ950mだがイングランドの中で3番目に高い山だ。氷河が作った渓谷と、高山湖と、急峻な尾根という、美しい景色を堪能できるらしい。
Red Tarnという山頂直下にある高山湖を見ながら歩きたく、山の東側の街、パターデール(Patterdale)から東尾根を往復する約8kmのルートを選んだ。
パターデールまでは車移動。アンブルサイドから丘陵地帯を40分ほど走れば到着だ。
谷の入り口から丘を登り、ハイキングルートに入る。
ルート上から見下ろすその谷、Grisedaleは氷河によって形成されたU字谷で、削られた渓谷の滑らかな曲線と広い谷底が特徴的だ。
谷の形に見とれている間にトレイルは石畳の階段になった。進行方向に石壁も見える。
ひたすら石畳を登り続けると、壁に人が通過するための切れ目が。
それを通過してしばらく歩くとRed Tarnがちらりと見えた。
ちらり。
見てみたかったRed Tarn。Tarnとは氷河が削った窪地にできた湖のことを指すらしい
そこから先はStriding Edge(ストライディング・エッジ)という、少し急峻な狭い岩尾根になる。
尾根の上には痩せたナイフリッジ。わざわざそこを登らなくてもナイフリッジ直下にはなだらかそうなルートも見えたのだが、進路が不明瞭でいつのまにか岩の上に迷い込んでしまった。
特に難しいルートではないのだが、積雪期には滑落事故もあるらしい。慰霊碑も散見された。この岩尾根の通過に憧れるハイカーも多いそう。ほんの2mほど下には安定したトレイルがあるというのに、岩の上のルートをアスレチック的に楽しむらしい。高所が苦手な私は、可能なら2m下のトレイルを歩きたいところだ。
岩尾根を過ぎた後も崩れやすいガレ場があり、山頂直下の傾斜が緩やかになるところまでは少し注意して歩かなければならなかった。
そんな岩尾根とは裏腹に、山頂はなだらかな台地状。
ほとんど鞍部はないが、双耳峰になっているらしい
下山ルートは湖を挟んでStriding Edgeの反対側にあるSwirral Edgeを利用する。
Red Tarnではひと泳ぎしようかと思っていたが、近くで見ると湖底がぬめっていたのでやめた
湖のほとりまで標高を下げるとそこから先は行きに使ったのと同じルートで登山口に戻った。
Red Tarnから流れ出る小川
下山後、パターデール内のパブに立ち寄ると、なんとWainwrightの名を冠したビールが。
アルコール度数約 4.1%のゴールドの方を試してみると、軽快でフルーティな味わい。しかしカンカン照りの暑い日に飲むなら、個人的にはほんのり甘いサイダーの方が好きだと感じた。
滞在7日目、5月2日(金)
この日からまたロンドンに2泊する予定だ。折しも明日からイギリスはバンクホリデー。前後に有給を取って大型連休にする人も多いらしく、渋滞を避けるために湖水地方を早朝に発った。
さようなら湖水地方。自然も街並みも美しいエリアで別れが名残惜しい…
アンブルサイドの南隣りにある湖水地方の玄関口、ウィンダミアという街のガソリンスタンドの売店にて出前一丁を発見
滞在するホテルは直前まで予約していなかったが、土地勘のない私でも多少は心強いだろうということで、前半に滞在したのと同じアールズ・コート駅周辺でホテルを探すことにした。
が、さすがはバンクホリデー。なかなか空きのあるホテルがなく、空いていてもキッチンなしの1Rでさえ、最初に滞在した2LDKの部屋よりも高い価格設定となっていた。それでも駅から近い方が安心かと思い予約。空港で車を返し、地下鉄で移動して昼過ぎにホテルに到着。4階の部屋にもかかわらずエレベーターがなく、スーツケースを運ぶのに苦労した。
当初の予定では友人も私も2日後の5月4日のフライトでそれぞれの目的地(私は日本、友人はドイツ)に向けてイングランドを出発する予定だったのだが、友人が急な仕事の都合で1日早くドイツへ帰らなければならなくなった。
そうなるといろいろと心細いものである。
私の帰国便は、行きとは異なってガトウィック空港からの出発だったため、友人に付き添ってもらってアールズ・コート駅から空港行き特急列車の出ているヴィクトリア駅までの行き方を予習しておいた。
ヴィクトリア駅
その後はタワーヒル駅まで行ってロンドン塔を見学。
ロンドン塔の敷地内からはタワー・ブリッジが見えた
滞在8日目、5月3日(土)
友人を駅まで見送ってから、私も別の列車に乗ってピカデリー・サーカス駅へ。
そこから大英博物館までふらふらと散歩。
突然のハリーポッター像
大英博物館では偶然にも歌川広重展を開催していた
歩き疲れたらパブに入って軽食を摂り、また歩いて今度はテムズ川沿いを散策し、夕方にはアールズ・コート駅へ戻った。
ホームに降り立つと、向かいのホームがガランとしている。
これは珍しいと思い、写真を撮って喜んでいたのだが、改札口に行くと列車運休のお知らせが。しかもディストリクトラインと言えばヴィクトリア駅に行くためのラインではないか。
地下鉄のウェブサイトを確認してみると、ヴィクトリア駅に行くもう1本のラインであるサークルラインも同じく運休している。
駅のスタッフに聞いてみると、ヴィクトリア駅に行くためにはC1というバスに乗るのが良いとのこと。しかしバスでは交通渋滞の可能性も高く、到着時間が読めない。
ホテルに帰ってから地下鉄の路線図をじっくりと見てみると、アールズコート駅からピカデリーラインでグリーンパーク駅まで行き、そこからヴィクトリアラインに乗り換えればヴィクトリア駅に行けることが判明。よかった!これなら予習なしでもなんとかなりそうだ。
安心したらお腹が減ってきた。ホテルの部屋にはキッチンがないので外食の必要がある。
野菜が食べたくなり、ホテルの近くに中華料理店へ行って青梗菜炒めと麻婆豆腐を注文した。
学生の頃、中華料理店でバイトしていたので粋がって中国語読みで料理を注文してみたのだが、「Are you from Japan? コンニチワ!」と言われてしまった。なぜバレたんだろう?
なじみ深い味で非常においしかったのだが、その2皿に青島ビール1本でお会計は約6000円。恐るべしロンドンの物価……。
滞在9日目、5月4日(日)
ホテルのすぐ近くのパン屋さん、PAULで朝食を済ませ、空港へ向かった。
心配していたヴィクトリア駅までの順路も難しくはなく、無事にガトウィック・エクスプレスに乗って空港へ到着することができた。
ガトウィック・エクスプレス
さて、飛行機に着席すると、妙に日本食が恋しくなってくる。
家に帰ったらお茶漬けサラサラやなぁ…、と思いながら帰路に就いた。
さいごに
今回の旅を通じて印象的だったのは、イングランドの山々が標高は低くとも広大な草地や氷河由来の谷が織りなす独自の風景を持っていること。
日本で氷河地形というとアルプスのような「高さ」と「急峻さ」を思い浮かべるが、イングランドの登山は「広がり」と「ゆるやかなアップダウン」が特徴的に感じた。
特に石塀やゲートなどの人の営みがトレイルの一部になっていることは、羊の放牧地帯として山を活用しているイングランドならでは。
日常に根差しているという点では日本の里山も同じであるが、地形や生態系の違い、人々の自然の活用方法や自然観の違いにより、長い歴史の中で、日本とはまた違った独特の景観を育んできたのだろう。
今回の旅を通して、地学と文化、双方からそれぞれの自然について学んでみたいと思った。
興味のある人はぜひイングランドの「フェル」たちを歩いてみてほしい。
にほんのいろTシャツ
今回の旅では定番アイテムもたくさん活躍したのだが、あえて1つ選ぶとしたら、これだろうか。
というのも今回のような軽めのトレッキングに十分な機能性を持ちながら、日常的に着やすいゆとりあるシルエットで、山と市街地観光の両方で使うことができたからだ。
執筆者:マーケティング 畑本 恵里
入社年:2016年
かつては沢登りやBCスキーやトレランにも挑戦してきたが、近年はもっぱら難所のない山歩きと、小波のサーフィンをのんびり楽しむご隠居おとな女子。よく発する独り言は「のんきが一番」。
山と海と布団とお酒とつまみが大好き。