DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 清水 憲柱 写真:吉田

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スタッフの遊び記録
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この夏、剱を訪れ、チンネの雄々しい姿に心を奪われた。
そして、空に向けて登っていくかのようなクライマーの姿に、自分も登りたいという欲望が湧き上がってくるのを感じた。
「今年中に必ず登りにこよう。」その時の思いをかなえるため秋の3連休、剱を再訪した。
【山行日】 2017年10月7~9日

せっかくだから行ったことがないところからと、今回アプローチには早月尾根を選択。
登山口の有名な石碑を前に心が引きしまる。

早月尾根は噂通りの急登。
さらに雨のせいでぬかるみも多い。
早月尾根に水場はない。
ザックに入れた水8Lが重く背中にのしかかる。

少し上がると紅葉した木々に迎えいれられた。
帰りに晴れた日の中で見れば、本当にきれいな光景だったが、雨と登りの中では景色を楽しむ余裕はなかった。

森林限界を超えたあたりから徐々に岩が露出し尾根が痩せてきた。
かなり整備された道のため快適だったが、疲労もたまっており思うようにスピードが上がらない。
アルプス三大急登の名は伊達ではなかった……。
出発が遅くなってしまったこともたたり、予定の三の窓までたどり着けず、稜線でビバークした。

翌日は北方稜線をたどり、池ノ谷乗り越しへ。
天気はかなりよく、登攀中の景色にも期待が持てる。

池の谷乗り越しにて荷物をデポし、チンネへ向かう。
今回軽量化のため、アイゼンを持ってこなかった。
この時期ならばいらないだろうとの予想だ。
予想通り雪渓はなかったが、雪渓後はガレガレ。
注意深く取り付へ向かう。

9時過ぎ登攀開始。
序盤は、程よいフェース。
前日の雨の影響が心配だったが、
濡れている箇所はあるが登れないほどではない。

ルートはハーケンがしっかり打ってありに迷うことことはなかった。
かなり古いリングボルトなどもあり、歴史を感じる。

振り返れば、紅葉の裏剱が見渡せる。
幸運なことにこの日チンネは私たちだけの独占状態。
コンディションは最高だった。

いよいよ核心「鼻」の登攀。
ビレイ点からのオブザべでは、核心のハングは思っていたより、手ごわそうに見えない。
ハーケンもかなり近い間隔で打ってある。
これならA0なしで行けるのでは!?と気持ちが昂る。

が、実際に行くと100mほど切れ落ちたリッジに乗り込むことが核心だったことが判明。
これまで感じたことのない高度感に負けてしまい、核心はA1で突破した。

その後、Ⅲ級程度の快適な登攀が続き、結局チンネの頭に到着したのは、16時半。
他パーティがいれば、渋滞の原因となってしまうようなタイムであった。
精進しなければ。

懸垂を2回繰り返し、ヘッドランプをつけながら池ノ谷ガリーを登り返す。
予定では三の窓泊だったが、水を求め、熊の岩付近にてテントを張った。
しかし、水場がよくわからず、結局雪渓の水を溶かすことに。
この日1番の大仕事となった。

最終日も快晴。
山頂は今までのアルプスで1番の晴天となった。

帰りに早月尾根を下っていると、日帰りのトレイルランナーや紅葉をもとめ、中腹までくるハイカーなど様々な登山者と出会った。
私は岩しか見ていなかったが、様々な人を受け入れる剱の懐の深さを感じた。
やはり剱は素晴らしい。

 

標高の高いところでのアルパインクライミングでは、強い日光や風による冷えなど過酷な環境が襲い掛かってくる。しかしハーネスをつけた状態で、ウェアを何度も脱ぎきすることは煩わしい。
それらに対応しつつ、着続けても快適なフロウラップは登攀での強い味方となってくれた。

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