DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 山下 良太 ■撮影:山下・相川・衣川・三井

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スタッフの遊び記録
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いかに効率的に・素早く・快適なイグルーを作れるか。昨シーズンからトライしていることのひとつだ。なぜイグルー作りが上手くなりたいか?雪山登山であれば快適に過ごせるテントを持っていくことが多い。一方、滑りも楽しみたいBCスキーツアーでは荷物を減らして身軽な状態で滑りたいという想いがある。そんな時に雪洞、イグルー、ツエルトが夜を明かす手段になると思う。天候や地形や積雪など状況によりけりという部分は大きいが、効率的・頑丈・暖かいという点に惹かれてイグルーが気に入っている。今回は、イグルー作りのテクニック向上も目的に、奥美濃・両白山地を滑ってきた

■アクティビティ日:2024年2月23日 ~ 2月25日

ルートは、石徹白(いとしろ)登山口をスタートして、薙刀山直下の台地にベースとなるイグルーを作成。
翌日に薙刀山~日岸山~よも太郎山~願教寺山を滑り、最終日に野伏ヶ岳を滑って下山する。
地形図的にスキーに適した山域で藪が雪に覆われる季節は楽しめるルートだと思う。
さて、暖冬で小雪の今年はどうだろうか・・・。

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【Day1 2/23(金)】
今日の目的地は薙刀山1400m付近の台地。
そこで3日間のベースとなるイグルーを作る。

石徹白(いとしろ)登山口からスタート。
雪は少ないものの、林道はなんとか繋がっていてシールでハイクアップできた。
牧場跡から沢沿いに進み、スノーブリッジを見つけて沢を渡る。
そのまま尾根に乗り上げて目的地の台地まで登った。

牧場跡から沢に沿って歩いていく
スノーブリッジを見つけて対岸へ渡る
目的の台地でイグルー適地を発見!

今日はイグルー作りに専念する。
今回は水分が多くて難しく時間が掛かりそうだ。

イグルー作りで重要なポイントはスタートのサイズ感といかに角柱のブロックを素早く切り出せるかだと思う。
スタートは大きくしすぎず90cm×90cmに。
最初は捨てマスが出来ることと、寝床のサイズを考えると90cm×120cmも良いかもしれない。
30cm四方のブロックを切り出して1段、2段と積み上げる。
風が吹き込みにくい方向の角を入り口とするため少し開けておく。
2段目を積み上げる時には、60cmは掘り下げているため風を防ぎながら作業ができる。ブロックの高さも合わせると90cm~120cmの壁ができていることになる。これは強風時に大きなメリットだと思う。
3段目からは角柱のブロックで一気に角を狭めていく。狭められなければ、なかなか天井が塞がらないのだ。
この角柱のブロックの切り出しがポイントで、掘り下げた側面から切り出す。
つまり居住空間を拡張しつつ屋根となるパーツを作り出すのだ。
シャバシャバの雪で初めは苦労したが、60cm程掘ると安定して長い角柱を切り出せるようになった。

今回のメンバーはイグルー作りに勤しむイグルー建築士たち(一人、何度か天井崩落を繰り返す違法建築士もいたが笑)
それぞれが思い描いたイグルーを作っていく。

天井崩壊!

2泊するので寝床の整地を綺麗に行い、屋根の隙間もしっかりと塞いで、1時間半程で完成。
入り口は雪壁とツエルトで塞いで風の吹き込みを防ぐ。

イグルー完成!
全員が完成して一番大きなイグルーに集合

さらにメンバーそれぞれのイグルーをトンネルで連結させて物を渡したり、移動できるようにした。この様に工夫次第で色々アレンジしやすいのも面白い。

トンネルを抜けて移動。ちょっと狭すぎたかな?

夕食を済ませてそれぞれのイグルーで眠る。
天井の塞ぎ方が甘かったか舞い込んだ雪が頬に触れる。
隙間からは月が覗いていた。

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【Day2 2/24(土)】
視界は青と白。快晴だ。
今日のルートは薙刀山〜日岸山〜よも太郎山〜願教寺山。

イグルーから出ると求めていた青い空があった
野伏ヶ岳を後ろに薙刀山を登る

コンディションはしばらくまとまった降雪はなく、ガチガチバーンに前日の雪がうっすら乗った状態だ。


薙刀山から滑る

この日はとても暑く、もはやGWかと思うほどの陽気。
日が昇ると気持ちの良いザラメになりそうだ。
北東面をうっすらパウダーで繋いで進む。

わずかに表面パウダー

順調に進み、願教寺山への登りでシートラーゲンに切り替える。

願教寺山が見えてきた。西面は崩壊している。
山頂まであと少し!

踏み抜きも多く急斜面でバテながらも山頂に到着。
白山へと続く縦走路が良く見える。
ここから、さらに進んで名も無きピーク1615を目指す。

1615を目指して願教寺山を後にする
ガスが迫ってきたぞ!

ピーク1615から石徹白川の支沢が集まる1150付近まで滑る。
昼も過ぎて雪も緩み下まで気持ち良く滑れた。
何度か支沢を渡渉して薙刀山から北東に伸びる長い尾根の取り付きへ。

何度か雪を崩して渡渉する

取り付きから薙刀山まで500mアップは疲れた体にこたえる!

時間も気にしながら足早に長い尾根を進む
日が傾き始めた

薙刀山に着いた頃には雲海に西陽が射して、感動的な光景だった。
雪山の夕焼けはどうしてこんなにも感動するのだろう。
数ある山の景色の中でも随一だと思う。
夕日に染まる雪山は神々しく畏怖すら覚える。
これは雪山に泊まらなければ見られず、強烈な色彩が強く記憶に残るからだろうか。

薙刀山への最後の登り
この日この場所で見た夕日は忘れないだろう

シールを外してマイホームに向かってドロップする。

最後のトランジット
夕日を眺めながらサンセットライド。マイホームまでわずか5分

1日を振り返りながら夕食を済ますとクタクタですぐに眠気が襲ってきた。
星空の下、イグルーが光り輝く。

僅かな光でもイグルー内で乱反射して明るい

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【Day3 2/25(日)】
最終日は未明から降雪。重たく湿った雪だ。
野伏ヶ岳の山頂に立った頃にはしっかりと積雪があった。

重い雪が降り続く

前日に各斜面を観察してクラックが多かったので視界も乏しいこともあり尾根を滑ることにした。
注意深く尾根を滑る。
底付きはするものの意外と雪は悪くなく、スムーズに下ることができた。

初日に登ってきた林道を滑る。
前日の陽気で溶けたのか林道は途切れ途切れで最後は担いで下山した。


最後まで滑りきりたかった

山深い奥美濃の山域に浸かることができた3日間だった。

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遊びのMVPアイテム

ポリゴンUL

イグルー作りは濡れやすい。それは降雪や作業中に触れる雪による濡れと汗による濡れがある。雪が降っているとシェルを着るが、切ったり掘ったりしていると暑くて汗をかく。雪が降っていなくてシェルを脱いで作業をすると、壁に当たったりして意外と濡れる。しかし、保温着を着ないと寒い。そんな時こそ、濡れに強くて乾きやすいポリゴンULが役に立つ。

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執筆者:マーケティング課 山下 良太

2021年入社

四季折々、自然の中で遊びのカタチを求めて。登山、BCスキー、サーフィン、パックラフト、林道ツーリングなどを楽しんでいます。

※自然の中でアクティビティを行うためには、十分な装備、知識、経験が必要です。事前の準備を徹底したうえで、安全に注意してお楽しみください。

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