DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

投稿者: 相川 創  ■写真:相川、岩井、八幡

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スタッフの遊び記録
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GW後半戦は、悩ましい天候だった。
年に一度は訪れたいと思っている黒部源流エリアに3日~6日の予定で入るつもりだったが、3日は暴風雨、4日は猛吹雪との天気予報で、入山を断念された方も多かったことと思う。
転身も含めていろいろな可能性を考えたが、吹雪の4日であれば、樹林帯のアプローチならば可能だろう、うまいこと行けば、5日は季節外れのパウダーを堪能できるかもしれない、そんな期待を込めつつ、無理はしないようにと肝に銘じながら1日遅れの4日~6日のプランで入山することにした。

■5月4日
今回は北ノ俣岳の登山口である飛越新道を経由するルートからのアプローチだ。積雪期に薬師岳や黒部五郎岳、雲ノ平などを目指す最短ルートではあるが、長く複雑なことから、余裕を持って歩くには3日間程度の日数を要する。素晴らしいエリアなのにかかわらず、人も少なく、静けさを保っているのはそのおかげなのだろう。

この日は天候が厳しそうなので、とりあえず北ノ俣岳の避難小屋付近まで入れればいいだろうと、ゆっくり目の8:00ごろスタートする。
予報通り、出だしから雪が降っていたが、雨よりはずっとマシ。樹林帯にいる限りは大したことはない。むしろ、暑くなく厳冬期のような風景が見られたので、登る分には快適だった。

北ノ俣の避難小屋まで来てみると、思ったほど天気も悪くない。ただ、北ノ俣岳の西面も、期待したほどには雪が積もっていない。
翌日5日は、晴れ予報だが、朝までは吹雪で、昼間も風速20mオーバーの西風の強風が予想されていた。ならば、本日中に東面の風裏側に入ってしまったほうがいいのでは、とこの日のうちに北ノ俣岳を越えることにした。

北ノ俣岳の稜線付近は、雪がつながっていればシールで越えられるが、つながっていなければ壮絶な藪漕ぎになる。視界がなく、状況がわからないのと、今年の積雪量を考え、安全を取って途中から登山道を登る。稜線付近は、吹雪だった。

山頂付近はガスで真っ白。時折視界が良くなるので、それを狙ってしばらくガス晴れ待ち。

ガスの晴れ間を狙って東面にドロップ。新雪とクラストのミックスで、視界も悪く、なかなか滑りにくい。

北ノ俣東面を標高を下げると、一気に天気は穏やかになった。これで、明日以降の行動もかなり楽になった。

■5月5日
夜ははじめは晴れていたが途中から吹雪に変わった。明け方に一回、雪かきを行うほどで、朝テントから這い出してみると30㎝くらいの新雪。ただし、東面側なので風は全く穏やかであった。
当初は、黒部五郎岳か薬師岳を狙うつもりだったが、このコンディションならピークにこだわらず、いい雪の斜面を滑ろう!と方針変更。
朝イチ少しのハイクアップから赤木平の2460mピークに立つと、目の前には素晴らしい新雪斜面が広がっていた。薬師沢小屋方面に向かって、まず一本目のドロップ。関西のスキーヤー的にはぎりぎりパウダーかな、と言える雪質の最高の一本をゲットすることができた。

あさイチパウダーランの動画

標高2000m近くまで落とすと斜度も落ち、雪もかなり重くなった。一本目はここを打ち止めとして登り返すことにする。

さて、次はどこを滑ろうか。

前日の夕方、ガスが晴れたタイミングで周辺の斜面をよく観察しておいたが、雪付きが不十分な状態でも赤木岳の東面側の斜面は、非常にきれいに雪がついているのが見えていた。あれに、昨晩の新雪がプラスされれば、かなり良いに違いない!

そこで、2本目・赤木岳のピーク目指してハイクアップを開始。

赤木岳山頂からドロップ。
時間は正午を回り、さすがにパウダーとは言えない重い新雪だったが、一様の雪質でしっかりと積もっているのでリズムをつかんでしまえば快適に滑ることができた。

黒部五郎岳をバックに。今回は行かなかったが、いろいろな面を滑ることができる、素晴らしいスキーの山だ。
このエリアはホントにどこを見ても素晴らしい斜面ばかりである。

真っ白なキャンバスに3本のシュプールを描いていく。

天気はすっかり春の陽気で、下部はずっしりと重いストップスノーだった。赤木沢の源頭まで滑って終了とした。ここで、黒部五郎岳方面から滑ってくる人がいるな、と思ったら太郎平小屋のご主人だった。この天気でかなりキャンセルが出てしまって、滑りに来たとのことだった。確かに、GWタイミングにもかかわらず、北ノ俣岳東面はほぼ貸し切り状態だった。

■5月6日
翌日は足を伸ばすのはやめて、早めに下山することにした。とはいえ、北ノ俣西面、標高差600mの滑走はもれなくついてくる。行きはわからなかったが、稜線付近の雪は実はつながっていた。登山道を歩くことなく、西面丸ごと滑り降りることができた。

飛越新道の下山は、ほぼ修行系の滑りだったが、標高1750m付近まで、スキーをつけて下ることができた。

ちなみに、2015年に私が執筆したこちらの遊び記録からは、北ノ俣岳、黒部五郎岳の夏の風景もご覧いただける。

 

滑りを楽しむためには、荷物はできるだけ小さくしたい。でも、まだこの時期、寒気が入れば吹雪くときもあり、信頼できる4シーズンテントのほうが快適だ。
カミナドーム4は2㎏を切る軽量さはもちろん、一般的な2人用テントよりも小さいのでは、というコンパクトさがこんな時非常にありがたい。45Lのバックパックで、全装備を余裕で納めることができた。
積雪期は、付属のペグの代わりに竹ペグを用意していくと、設営しやすくてオススメ。

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