7/222026
【後編】100kmトレランレース挑戦前に読んでほしい。奥信濃100を走ったfinetrackスタッフが語る、装備・大会の魅力・コース整備のすべて
前編では、奥信濃100に挑戦したfinetrackスタッフ2人のコース戦略と補給について語ってもらった。後編では、装備とウエア選び、エイドや地域の温かさ、そしてfinetrackがこの大会のコース整備に関わる理由について聞いていく。
登場するのは、19時間43分で完走したカスタマーサービス課・田中(33歳)と、48km地点でDNFとなったマーケティング課・松井(50歳)の2人だ。
■アクティビティ日:2026年6月6日~6月7日
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——ウエアについて教えてください。まずは今回の気温はどうでしたか?
田中:例年より低かったらしいのですが、昼は太陽がちゃんと出て暑かったですね。夜も思っていたより寒くなかった。どちらかというと防寒より暑さ対策の方が大事でした。レインウエアはスタートの朝だけ着て、あとはずっと長袖長ズボンで走り切りました。
——トレイルランニングで長袖長ズボンは珍しい気がしますね。
田中:そうですね。参加者のなかで、長ズボンは他にいなかった気がします。写真で見返すと、自分だけ山から降りてきた登山帰りの人みたいで(笑)。

一人だけ長袖長ズボンで登山帰りのよう…?
——なぜ、長袖長ズボンだったのですか?
田中:普段の登山やクライミングでは擦れたりするので、昔から長袖長ズボンの方が安心で。今回もその感覚で来たんですが、走ってみたらやっぱり暑かったですね。みんなが半袖半ズボンな理由がわかりました。
——松井さんはショーツで走ってみてどうでしたか?
松井:川沿いの区間で虫にめちゃくちゃ刺されまして、7〜8カ所。それがかなりストレスで、長ズボンは正直羨ましかったです。ただ、両方持っていくと重くなるし現実的じゃないですよね。コンバーチブルパンツみたいに着脱できるものがあれば理想的だと思いますね。
田中:確かに、それがあれば解決しますね。

気持ちいい本沢川のトレイルは虫対策も重要。
——装備はどうでしたか?
松井:今回ポールを新調したんですよ。移動中にたまたま立ち寄ったショップで買って。それが結果的に大正解で、あれがなかったらちょっとやばかったかもしれないですね。
田中:自分は太い登山用ポールしか持っていなくて、それが失敗で。コース中にポール使用禁止区間があってしまわないといけないんですが、コンパクトに折りたためないタイプだったので、ずっと背中とザックの間に挟んで走る羽目になりました。トレラン用の軽量ポールを用意しておくべきでした。

急斜面で活躍するポールはマストアイテムだ。
——ソックスはいかがでしたか?

ラミースピン®ソックスとドライレイヤー®インナーソックス 5本指レギュラー
松井:ラミースピン®ソックスの下にドライレイヤー®インナーソックス 5本指レギュラーを重ねて、2枚履きにしました。渡渉ポイントが複数あるし、ぬかるみや一本橋みたいなところもあって、濡れると豆ができやすくなるので。実際、足のトラブルはほぼなかったですね。ドライレイヤー®のソックスを重ねることで、濡れた後も肌がふやけにくい感覚があって、個人的にはとても良かったです。

一本橋や渡渉ポイントもあるため足元の濡れ対策も気にかけたい。
——今回のMVPアイテムを教えてください。
松井:ドラウト®シェードアームカバーですね。温度調節もできるし、汗も拭けるし、日焼け対策にもなる。手首のスリットで時計も見やすい。あとはドライレイヤー®インナーソックスの2枚重ねも捨てがたいです。

時計スリット付きドラウト®シェードアームカバーで次回はペース配分も万全に…?!
田中:自分はラミースピン®エア ロングスリーブです。とにかく速乾性が高くて、ゴールした時に背中を触ったスタッフから「全然汗かいてないんじゃないか」って言われたんですが、汗はかいていたんです。もう乾いていたんですよね。

速乾性にびっくり!と語る田中
——コースや大会の雰囲気で印象に残ったことを教えてください。
田中:エイドがとても明るくて活気があって、到着するたびに元気をもらえました。ボランティアさんが積極的に声をかけてくれて嬉しかったです。
松井:地元の方が約180人参加されているそうで、他のレースと比べてもボランティアの方の対応が温かいと表彰台の選手の皆さんも話していました。
——印象的な場面はありましたか?
田中:夜11時過ぎに住宅エリアをフラフラ走っていたら、真っ暗な中に人が立っていて応援してくれていたんです。大会の公式スタッフでも何でもない方で。すごく力をもらいました。

地元の方の応援が疲れた身体に染みる。
松井:大会と関係なく、水を配ってくれるおばあちゃんもいましたよね。地域全体で選手を迎えてくれているという感じがあって、それが奥信濃100の雰囲気をつくっているんだと思います。
——そんな応援に背中を押されて、田中さんはどんなゴールを迎えましたか?
田中:ゴール直前にクマが出まして、そのことで頭がいっぱいで。仲間がゴールで迎えてくれて「よく頑張ったね」と声をかけてもらったんですが、動画を撮ってもらっていたのに大してリアクションができなくて。
田中のゴールの瞬間。心なしかリアクションが薄め。
——クマ!ゴールよりクマが印象に残ったと(笑)。
田中:そうなんです(笑)。ゴール後はロマンスの神様で温泉に入って。レース当日は24時間営業なので、ゴールがどんな時間になっても入れるのがありがたいですね。
松井:私はDNFで先に戻っていたので、温泉もカレーもゆっくり楽しめました(笑)。

表彰式の様子
田中:あと、レースの参加者に主催者側から抽選券が配られて、帰り道に地元の道の駅に寄ると抽選ができるんですよ。地元のお米とか野菜が当たって。自分は野菜が当たりました。

レース参加者に配られる抽選券。出走後のお楽しみ。
——レースだけじゃなくて、木島平村での前後の楽しみも含めて奥信濃100の魅力ですね。
松井:そうですね。温泉も道の駅も、地域全体が大会を盛り上げてくれているという感じがあって。それが奥信濃100らしさだと思います。
——finetrackがこの大会のコース整備に関わっているとのことですが、詳しく教えてください。
松井:finetrackにはドライレイヤー®の購入金額の5%を登山道整備に寄付するプログラムがあって、奥信濃100のコースもその支援先になっています。2年前にはお客さんと一緒に実際に整備するイベントがあって、自分も参加しました。
登山道整備の様子
——どの辺りを整備したんですか?
松井:A2会場エイドからA3カヤの平WAに向かう区間の岩沢エリアです。冬の雪の重みで崩れかけていた斜面に手を入れて、水の流れも計算しながら整えました。放っておくと、みんな危険な斜面を避けて脇道に踏み込んで、植生の浸食がどんどん広がっていく。そういう悪循環を止めることが大事で。
——今年実際に走ってみて、どうでしたか?
松井:整備した状態がちゃんと残っていました。歩きづらいと思うところが一つもなくて、横に川が流れていて景観もいいし。自分が手を入れた道を走るという体験は、レースとはまた違う感覚がありましたね。愛着が生まれるというか。「奥信濃100は百年先も面白く」というコンセプトのもとで保全活動が続けられているんですが、走るだけじゃなくて整備から関わることで、大会を違う角度で楽しめると思います。
——これから100kmに挑戦する方へメッセージをお願いします。松井さんから。
松井:DNFになったことを失敗だとは思っていないんです。100kmを走るにはちゃんと練習が必要だということがわかったし、生成AIなども駆使しながらペース配分を事前に作っておくことが大事だともわかった。来年はそれを踏まえて完走したいと思っています。気をつけることを言うとしたら、練習をちゃんとやること。それだけです(笑)。

——田中さんはいかがでしょう。
田中:ゴール直前にクマが出て頭がいっぱいでしたが(笑)、ゴールした瞬間の達成感は本当に特別なものがありました。大変だったけどやってみないとわからないことだらけで、また出たいという気持ちもありますね。ぜひ皆さんも参加してみてください。

——お二人の話を聞いていると、完走もDNFも、それぞれに得るものがあったんだなと感じます。最後に一言あればお願いします。
松井&田中:アルプの山田琢也さんはじめ、大会を作ってくださっている皆さんへ、本当にありがとうございます!!
取材・文:fun to track編集部