最強の5レイヤリングとは

ナンダ・コート初登頂80周年記念登山隊 隊長: 大蔵喜福(おおくら・よしとみ)

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いまから81年前となる1936年、立教大学山岳部が日本初となるヒマラヤ登山に成功した山、それがナンダ・コート峰です。その山頂に埋められた旗を探し出すため、2017年秋、再登頂に挑んだ人たちがいます。
時空を超えた登山プロジェクト「ナンダ・コート初登頂80周年記念登山隊」のレポート第2弾です。いよいよアタックの時を迎えた遠征隊を待っていたのは・・・?(finetrack編集部)

10月7日正午、アタック隊からC2にいた私に緊迫した連絡が入った。

「隊長・・・スノーバーでの確保が出来ません」
「雪の層が薄く、氷が固くスノーバーは効きません・・」
「もっと効きのいいアイススクリューは?・・・」

 <ナンダ南壁上部の雪質、ザラメと氷柱>

頂上直下、距離にして200m。
傾斜約60度、積雪が少なく50cmのスノーバーを横に埋めるのが精いっぱい。最後の安全確保ができない軟雪壁。
アイススクリューも硬軟織り交ぜた粗目とツララの氷壁に頼れず、危険を顧みずの行動を慎む決断を下す。

「安全第一、残念ながら退却!」

五分五分で登れないこともない。ただ一度でも踏み外したら何人も引っ張り込む。
ロープ無しで攻める? それにも大きなリスクが・・・重々しい不安が過ぎる。
あと200なのかまだ200なのか?
『残り200m』
最高到達6750mが私たちの結果であった。

 <ナンダ・コート南壁と最高到達点6750m、700mに及ぶ滑り台、頂上雪壁最大傾斜60度>

頂上に埋められた三つの旗を持ち帰ることは先送りとなってしまったが、‟登れた感”と‟やり切った感”が心のなかで膨らむ。何故か悔しさはわいてこなかった。
北面の初登ルートとは比ぶべくもない南面ルートだった。
道なき道の困難なアプローチにはじまり、登山活動に入ってから複雑な地形の登攀ルート、頂への700mに及ぶ氷雪壁。地形、氷河、高度差、距離、何もかもが異なる“面白い山”だったというのが本音である。
再登!が頭を過ぎる。

 <C1:4900m。奥の尾根の鞍部カフニ・コルをには中央の氷雪壁を越えなければならない。>

南面の歴史は浅い、注目され出したのは30年ほど前のこと。隊としては1995年秋のイギリス、2002年の春インド隊に続き我々が3隊目だ。登頂はまだ1995年のイギリス隊のみ。彼らは4日間降り続いた雪で頂上を却下にできた。ナンダ・コートの南面はなんとも冒険的要素がひしめき‟高きが故に貴からず”の見本のような山であった。

 <ナンダ・コート南壁をゆく>
 <カフニ・コルへの登り。>

なお、インドは周辺国との国境問題があり、必要な五万地形図が入手できない。さらに通信手段も難しく、特に衛星通信は全く許可されない。逆手にとってこのスタイルを楽しむような登山をすればそれはそれで面白い。外部連絡が旧態依然のメールランナーだけとなれば隔離された別天地、気分よく活動ができるかもしれない・・・?

 <アプローチのキャラバン中、雨期の大増水で流された橋の再建(ダワリ集落)。3日間釘付けとなる。>

さて、日本初のヒマラヤ登山、1936年の立教大山岳部ナンダ・コート隊は、‟なぜ、登れたのか?”

80年前といえば、世界的にもヒマラヤ初登頂時代の黎明。とにかく他国よりも先に“山”を征服する国威掲揚、軍隊方式、極地法という物量作戦で登り、最後に一人でも頂に立たせれば成功という考えが真っ当な時代である。

そんな名誉を争ってとにかく一人でも押し上げるのが果たして本当の登山といえるのか?
そんな反骨精神のもと、自由と遊びの文化、‟たかが山、されど山”の人間性復活を世の大波を越え実践したのが彼らであった。
いろんな圧力にも臆せず屈せず、自立した自らの考えを気高き精神で貫き、純粋にヒマラヤに立ち向かった。その人間力こそが成功に導く原動力なのだと実感した。

概要

期間 2017年9月17日~10月15日 / うち登山活動15日間(9月25日~10月9日)
登山期間の天候 晴れ 11日、晴れのち曇り 3日、晴れのち曇り小雨 1日 良好
朝6時の平均気温 BC:-3.5℃ / C1:-8.4℃ / C2:-10.5℃ / C3:-13.5℃

メンバー

隊長 大蔵喜福
隊員 堀達憲、鈴木拓馬、山田祐士、門谷優(※)   ※は撮影を兼ねる
撮影 古賀志信、林宏、石井邦彦(※)、中島健郎(※)    ※は登攀隊員を兼ねる

ウエア

今回の遠征においては、finetrackのウエアが採用されました。なかでもメンバーの信頼が厚かったウエアは、アクティブスキン®。「汗の不快感は全くありません。外気は寒くても冷感は覚えず」(大蔵隊長)、「あるのと無いのでは大違い。ウール系ミッドレイヤーを着た際の肌に水滴すら感じるような汗濡れ感が解消され非常に良好な使用感」(門谷隊員)などの声がきかれました。

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また、エバーブレス®アクロの異次元ストレッチは「動きやすさ非常に良好。外気の変化に対してもずっと脱ぐことはなかった」(大蔵隊長)と有効に働きました。

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1/28 イベント開催決定!

「ナンダ・コート再登頂プロジェクト ~ 海外高所登山の心構え~」

再登頂アタックの全容を隊長の大蔵喜福氏が語ります! 長年にわたる高所登山の生々しい経験をもとに「海外高所登山の魅力と心構え」「高所登山でも有効なウエア知識」などもレクチャー!

・開催日時:2018年1月28日(日) 16:00~17:30
・開催場所:finetrack TOKYOBASE

詳細・ご予約はこちら>>

ナンダ・コート初登頂80周年記念登山隊 隊長
大蔵喜福(おおくら・よしとみ)

1951年生まれ。長野県出身。
エベレスト、マナスルなど8000m峰を7回登頂。マッキンリーにおける「風の研究」で第3回秩父宮記念山岳賞を受賞。