DRY LAYERING ドライを重ねる 5レイヤリング

春が来た! 寒い渇水期に我慢を続けてきたリバーカヤッカーにとって、一気に雪融けのホワイトウォーターが花開く心躍る季節。増水最終盤の揖斐川上流坂内川でエクストリームカヤッキングを満喫した。
【アクティビティ日】3月25日

木曽三川の一つ揖斐川。支流の坂内川は、岐阜・滋賀・福井三県の境、標高1,209mの三国岳を水源とする。
このあたりの雪融けカヤッキングは、例年は4月開幕となるのだが、今年は大雪で話題になった割には、大量の雪融け増水がさく裂することなく、静かに3月後半で早くも最終盤を迎えた。

名神から北陸道を乗り継ぎ、琵琶湖北岸の木之本ICから現地に到着してみると、山の木々の根元はまだ白く、路肩にも僅かに残雪があるが、これらが融けて無くなるのは時間の問題と思われた。自身としては6年ぶりの坂内川で、今年のラストチャンスを余すことなく愉しむため、アッパー、ロアーの2つのセクションのダウンリバーを2本立てという構成となった。

1本目のアッパーセクションは、大きな砂防ダムの下流を深くまで降りたところからプットイン。岩を避け、船底を擦らないルートを狙いつつ、狭いゴルジュに分け入る。
冷たい水は、増水していてもなお澄んでいる。

漕ぎはじめると水位がそう高くないことがわかる。流れは早いが流量はさほど多くないため、パドリングでルートを十分にコントロールできる。しかし、このコースは、流木のストレーナーや、岩だらけのドロップでピンニングが発生している。落差のある瀬が間断なく現れて、全く気が抜けない。

コース全体で瀬の密度は高い。その中でも核心とされる瀬では、狭い右岸側のスロットを選び、高いドロップを飛び越えるのがルート。ドロップのボトムには強く水流が巻いたバックウォッシュが待ち構え、何人も餌食となっている。ハイボリュームなクリークボートは難なくクリアしていったが、自分のプレイボートはスターンが薄く、バックウォッシュに喰われてボートが垂直に立ち上がる。このまま後ろに倒されるうとバックウォッシュに巻かれてしまう。すかさず腹筋に力を込めて前傾姿勢となり、パドルで水面を捉えてボートを水平に戻して事なきを得た。

核心を過ぎても瀬が次々に現れる。無心にこなしていくうちにイクアウト地点に到達。GPSによると3キロメートル。
感覚的には5~6キロメートルは下ったような、クリークのエッセンスがギュッと詰まったコースだ。

2本目のロアーセクションは、アッパーのテイクアウトの下流にある堰堤を回避してプットイン。
セクション前半は発電のため取水され水量が少なく、ゴルジュを出ると一時川幅が広くなるので、浅瀬ではなんとか浮べるルートを選んで通過していく。

コース中盤に差し掛かったところで右岸に放水口が現れ、水量が一気に倍加する。流れの勢いに乗って調子よく進むと、コース最大の危険箇所が現れる。

気持ちのよいウエーブの瀬の途中に、瀞場もなく存在する垂直に切り立った堰堤がある。気付かず突入すると本当に危ない。ランドマークの国道沿いの赤い吊り橋とコンクリート工場のすぐ上流になるが、残念ながら川からはそれが見えない。先導者の指示で上陸してスカウティング。唯一のルートである左岸ギリギリのスロープから下った。

堰堤を越えるとコースのハイライト、大波が続くビッグウォーターだ。エディから本流にボートを漕ぎ入れると、勢いのある早い流れに一気に運ばれていく。

正面からぶつかってくる波の壁をカヤックのバウ先で突き破りながら進む。大きく上下に揺れて先行者の姿が見え隠れする中を夢中になって漕ぐと、もうテイクアウト地点に到着。5キロメートルのコースをあっという間に消化した。

この川は、スキル次第でプレイボートでも行けないことはないが、危険箇所も多いので推奨するのはやはりクリーク艇。その他にもスローバッグなど、エクストリームカヤッキングに適した装備と技術、なによりコースを知るガイド役が欠かせない。

 

気温は15度まで上がっても雪融け水はまだ冷たい。ドライスーツの中は、アクティブスキン+メリノスピンライト+フラッドラッシュのレイヤリングで、汗冷え防止と同時に保温性を確保するレイヤリング。また、今回のようなエクストリームカヤッキングでは、トラブルに備えて、メンバー全員がスローバッグやゴージュバッグの携行することが必須です。

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